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調和級数とその収束可能性

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調和級数

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、任意の\(n\in \mathbb{N} \)に対して、\begin{equation*}a+\left( n-1\right) d\not=0
\end{equation*}を満たす定数\(a,d\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{a+\left( n-1\right) d}
\end{equation*}として表される場合、このような数列を調和数列(harmonic progression)と呼びます。調和数列の項を具体的に列挙すると、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\frac{1}{a} \\
x_{2} &=&\frac{1}{a+d} \\
x_{3} &=&\frac{1}{a+2d} \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}となります。

調和数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、その一般項\(x_{n}\)の逆数\begin{equation*}\frac{1}{x_{n}}=a+\left( n-1\right) d
\end{equation*}を一般項として持つ数列\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)をとると、これは初項が\(a\)であり交差が\(d\)であるような等差数列に他なりません。つまり、調和数列とは、等差数列の一般項の逆数を一般項とする数列です。

調和数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の項の無限級数は、\begin{eqnarray*}\sum_{n=1}^{\infty }x_{n} &=&\sum_{n=1}^{\infty }\frac{1}{a+\left(
n-1\right) d}\quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&\frac{1}{a}+\frac{1}{a+d}+\frac{1}{a+2d}+\cdots
\end{eqnarray*}となりますが、このような無限級数を調和級数(harmonic series)と呼びます。

例(調和級数)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{n}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&n \\
&=&1+\left( n-1\right) 1
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(1\)で交差が\(1\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。この数列の項の無限級数は、\begin{equation*}\sum_{n=1}^{\infty }x_{n}=\sum_{n=1}^{\infty }\frac{1}{n}
\end{equation*}ですが、これは調和級数です。

例(調和級数)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{2n-1}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&2n-1 \\
&=&1+\left( n-1\right) 2
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(1\)で交差が\(2\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。この数列の項の無限級数は、\begin{equation*}\sum_{n=1}^{\infty }x_{n}=\sum_{n=1}^{\infty }\frac{1}{2n-1}
\end{equation*}ですが、これは調和級数です。

例(調和級数)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{1-2n}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&1-2n \\
&=&\left( -1\right) +\left( n-1\right) \left( -2\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(-1\)で交差が\(-2\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。この数列の項の無限級数は、\begin{equation*}\sum_{n=1}^{\infty }x_{n}=\sum_{n=1}^{\infty }\frac{1}{1-2n}
\end{equation*}ですが、これは調和級数です。

例(調和級数)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\(a\not=0\)を満たす定数\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{a}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&a \\
&=&a+\left( n-1\right) 0
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(a\)で交差が\(0\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。ここの数列の項の無限級数は、\begin{equation*}\sum_{n=1}^{\infty }x_{n}=\sum_{n=1}^{\infty }\frac{1}{a}
\end{equation*}ですが、これは調和級数です。

 

調和級数は発散する

調和級数は発散します。まずは、補題として以下の調和級数\begin{equation*}
\sum_{n=1}^{\infty }\frac{1}{n}=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots
\end{equation*}が発散することを示します。

命題(調和級数は発散する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{n}
\end{equation*}と表されるものとする。無限級数\(\sum x_{n}\)は発散する。
証明

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以上の命題を踏まえた上で、一般の調和級数が発散することを示します。

命題(調和級数は発散する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}\forall n\in \mathbb{N} :a+\left( n-1\right) d\not=0
\end{equation*}を満たす定数\(a,d\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{a+\left( n-1\right) d}
\end{equation*}と表されるものとする。無限級数\(\sum x_{n}\)は発散する。
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例(調和級数は発散する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{n}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&n \\
&=&1+\left( n-1\right) 1
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(1\)で交差が\(1\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。したがって、無限級数\(\sum x_{n}\)は発散します。
例(調和級数は発散する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{2n-1}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&2n-1 \\
&=&1+\left( n-1\right) 2
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(1\)で交差が\(2\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。したがって、無限級数\(\sum x_{n}\)は発散します。
例(調和級数は発散する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{1-2n}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&1-2n \\
&=&\left( -1\right) +\left( n-1\right) \left( -2\right)
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(-1\)で交差が\(-2\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。したがって、無限級数\(\sum x_{n}\)は発散します。
例(調和級数は発散する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\(a\not=0\)を満たす定数\(a\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation*}x_{n}=\frac{1}{a}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x_{n}} &=&a \\
&=&a+\left( n-1\right) 0
\end{eqnarray*}となるため、\(\left\{ \frac{1}{x_{n}}\right\} \)は初項が\(a\)で交差が\(0\)であるような等差数列です。したがって、\(\left\{ x_{n}\right\} \)は調和数列です。したがって、無限級数\(\sum x_{n}\)は発散します。

 

演習問題

問題(調和級数)
以下の無限級数\begin{equation*}
1+\frac{1}{2}-\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\frac{1}{5}-\frac{1}{6}+\frac{1}{7}+\frac{1}{8}-\frac{1}{9}+\cdots
\end{equation*}が発散することを示してください。

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