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単一財オークション

第一価格封印オークション(ファーストプライス・オークション)

目次

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第一価格封印オークション

単一財オークションにおける直接メカニズム\(\left( a,t\right) :\Theta _{I}\rightarrow A\times \mathbb{R} ^{n}\)とは、入札者たちが申告する入札額\(\hat{\theta}_{I}\in\Theta _{I}\)に対して、結果\begin{equation*}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
\right) =\left( \left( a_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) _{i\in
I},\left( t_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) _{i\in I}\right) \in
A\times \mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}を1つずつ定める写像として定義されます。メカニズムが定める結果\(\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) \)において入札者\(i\)は確率\(a_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \)で商品を落札するとともに、その対価として所得移転\(t_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \)を課されます。

特に、単一財オークション環境におけるメカニズム\(\left( a,t\right) :\Theta_{I}\rightarrow A\times \mathbb{R} ^{n}\)が入札者たちが申告する入札額\(\hat{\theta}_{I}\in \Theta _{I}\)に対して定める結果が、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ a_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ \hat{\theta}_{i}>\max \left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in
I\backslash \left\{ i\right\} \right\} \right) \\
0 & \left( if\ \hat{\theta}_{i}<\max \left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in
I\backslash \left\{ i\right\} \right\} \right)
\end{array}\right. \\
&&\left( b\right) \ t_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\hat{\theta}_{i} & \left( if\ \hat{\theta}_{i}>\max \left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in I\backslash \left\{ i\right\} \right\} \right) \\
0 & \left( if\ \hat{\theta}_{i}<\max \left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in
I\backslash \left\{ i\right\} \right\} \right)
\end{array}\right.
\end{eqnarray*}を満たす場合、このようなメカニズムを第一価格封印オークション(first-price sealed-bid auction)やファーストプライス・オークション(first price auction)などと呼びます。条件\(\left( a\right) \)より、第一価格封印オークションのもとでは、単独で最高額を入札した入札者が商品を確率\(1\)で入手し、それ以外の入札者は商品を入手できません。条件\(\left( b\right) \)より、単独で最高額を入札した入札者、すなわち商品を落札した入札者は自身が提示した入札額に等しい金額を支払う必要がある一方、それ以外の入札者には所得移転は課されません。

例(第一価格封印オークション)
単一財オークション環境において非外部性、準線型性、リスク中立性、私的価値の仮定が成り立つ場合、入札者\(i\in I\)が状態\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)において結果\(\left( a,t\right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}\)から得る利得は、\begin{equation*}u_{i}\left( a_{I},t_{I},\theta _{I}\right) =a_{i}\cdot \theta _{i}-t_{i}
\end{equation*}となります。入札者集合が、\begin{equation*}
I=\left\{ 1,2,3\right\}
\end{equation*}であり、彼らの入札額が、\begin{equation*}
\hat{\theta}_{I}=\left( \hat{\theta}_{1},\hat{\theta}_{2},\hat{\theta}_{3}\right) =\left( 10,9,8\right)
\end{equation*}であるものとします。入札者\(1\)が最高額を入札しているため、第一価格封印オークションの配分ルール\(a\)が定める配分は、\begin{equation*}a\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left( a_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,a_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,a_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
\right) =\left( 1,0,0\right)
\end{equation*}であり、移転ルール\(t\)が定める所得移転は、\begin{equation*}t\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left( t_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,t_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
\right) =\left( 10,0,0\right)
\end{equation*}となります。したがって、状態が\(\theta _{I}=\left( \theta_{1},\theta _{2},\theta _{3}\right) \)であるとき、以上の結果からそれぞれの入札者が得る利得は、\begin{eqnarray*}u_{1}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{1}-t_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\theta _{1}-10 \\
u_{2}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{2}-t_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =0 \\
u_{3}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{3}-t_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =0
\end{eqnarray*}となります。

 

タイ・ブレークを考慮した第一価格封印オークション

先に第一価格封印オークションを定義しましたが、その際、誰かが単独で最高額を入札する状況を想定しました。では、複数の入札者が最高額を入札した場合にはどうすればよいでしょうか。そのような場合には、最高額を入札した入札者たちがいずれも等確率で商品を入手できるものと定めます。その中の誰を実際の入札者と定めるか、その方法は様々です。例えば、オークションの主催者がクジなどを用いて1人をランダムに選ぶことができます。その上で、実際の落札者は自身が提示した入札額に等しい金額を支払う必要がある一方、それ以外の入札者には所得移転は課されないものと定めます。

入札額の組\(\hat{\theta}_{I}\in \Theta _{I}\)のもとで最高額を入札した入札者からなる集合を、\begin{equation*}m\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left\{ i\in I\ |\ \hat{\theta}_{i}=\max
\left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in I\right\} \right\}
\end{equation*}で表記した上で、この集合に属する入札者の数を、\begin{equation*}
\left\vert m\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right\vert
\end{equation*}で表記します。以上の表記を踏まえると、複数の入札者が最高額を入札し得る状況を想定した場合、第一価格オークション\(\left( a,t\right) \)の配分ルール\(a\)が定める配分は、\begin{equation*}a_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\frac{1}{\left\vert m\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right\vert } & \left(
if\ i\in m\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) \\
0 & \left( if\ i\not\in m\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}となります。その上で、集合\(m\left( \hat{\theta}_{I}\right) \)の中から実際の落札者\(k\in m\left( \hat{\theta}_{I}\right) \)を選んだとき、所得移転ルール\(t\)が定める所得移転は、\begin{equation*}t_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\hat{\theta}_{i} & \left( if\ i=k\right) \\
0 & \left( if\ i\in I\backslash \left\{ k\right\} \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}となります。

例(第一価格封印オークション)
単一財オークション環境において非外部性、準線型性、リスク中立性、私的価値の仮定が成り立つ場合、入札者\(i\in I\)が状態\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)において結果\(\left( a,t\right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}\)から得る利得は、\begin{equation*}u_{i}\left( a_{I},t_{I},\theta _{I}\right) =a_{i}\cdot \theta _{i}-t_{i}
\end{equation*}となります。入札者集合が、\begin{equation*}
I=\left\{ 1,2,3\right\}
\end{equation*}であり、彼らの入札額が、\begin{equation*}
\hat{\theta}_{I}=\left( \hat{\theta}_{1},\hat{\theta}_{2},\hat{\theta}_{3}\right) =\left( 10,10,8\right)
\end{equation*}であるものとします。2人の入札者\(1,2\)が最高額を入札しているため、第一価格封印オークションの配分ルール\(a\)が定める配分は、\begin{equation*}a\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left( a_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,a_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,a_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
\right) =\left( \frac{1}{2},\frac{1}{2},0\right)
\end{equation*}です。入札者\(1\)が実際の落札者として選ばれた場合、移転ルール\(t\)が定める所得移転は、\begin{equation*}t\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left( t_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,t_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
\right) =\left( 10,0,0\right)
\end{equation*}となるため、状態が\(\theta _{I}=\left( \theta _{1},\theta _{2},\theta _{3}\right) \)であるとき、以上の結果からそれぞれの入札者が得る利得は、\begin{eqnarray*}u_{1}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{1}-t_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\theta _{1}-10 \\
u_{2}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{2}-t_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =0 \\
u_{3}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{3}-t_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =0
\end{eqnarray*}となります。一方、入札者\(2\)が実際の落札者として選ばれた場合、移転ルール\(t\)が定める所得移転は、\begin{equation*}t\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left( t_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,t_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right)
\right) =\left( 0,10,0\right)
\end{equation*}となるため、状態が\(\theta _{I}=\left( \theta _{1},\theta _{2},\theta _{3}\right) \)であるとき、以上の結果からそれぞれの入札者が得る利得は、\begin{eqnarray*}u_{1}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{1}-t_{1}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =0 \\
u_{2}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{2}-t_{2}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\theta _{2}-10 \\
u_{3}\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right)
,\theta _{I}\right) &=&a_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \theta
_{3}-t_{3}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =0
\end{eqnarray*}となります。

 

第一価格封印オークションは誘因両立的ではない

単一財オークション環境において非外部性、準線型性、リスク中立性、私的価値の仮定が成り立つ場合には第二価格封印オークションが耐戦略性を満たすのに対し、第一価格封印オークションは耐戦略性を満たさず、誘因両立的でさえもありません。つまり、第一価格封印オークションにおいて、すべての入札者が正直戦略にしたがって入札を行うことはベイジアンナッシュ均衡になるとは限らないということです。以下の例より明らかです。

例(第一価格封印オークションは誘因両立的ではない)
単一オークションのSIPVモデルにおいて、入札者集合は\begin{equation*}
I=\left\{ 1,2\right\}
\end{equation*}であるとともに、入札者たちのタイプが集合\(\left[ 0,100\right] \)上の連続一様分布にしたがって分布しているものとします。つまり、確率密度関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{1}{100} & \left( if\ 0\leq x\leq 100\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるとともに、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<0\right) \\
\frac{x}{100} & \left( if\ 0\leq x<100\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 100\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるということです。第一価格封印オークション\(\left( a,t\right) \)のもとで、入札者\(2\)が正直戦略にしたがって入札することを前提とした場合、タイプ\(\theta _{1}\)の入札者\(1\)にとって最適な入札額は、\begin{equation*}\hat{\theta}_{1}=\frac{\theta _{1}}{2}
\end{equation*}となります(演習問題)。つまり、入札者\(2\)が正直戦略にしたがうことを前提とした場合、タイプ\(\theta _{1}\)の入札者にとって正直戦略にしたがって\(\theta _{1}\)を入札することは最適ではなく、\(\theta _{1}\)とは異なる\(\frac{\theta _{1}}{2}\)を入札することが最適です。入札者\(2\)の正直戦略に対して、入札者\(1\)の正直戦略は最適反応ではないということです。以上の事実は、第一価格封印オークションのもとでは正直戦略の組がベイジアンナッシュ均衡になるとは限らないこと、すなわち第一価格封印オークションが誘因両立性を満たさないことを意味します。

 

第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡

第一価格封印オークションは誘因両立性を満たさないことが明らかになりました。つまり、オークションルールとして第一価格封印オークションを採用した場合、全員が正直戦略にしたがって入札することはベイジアンナッシュ均衡になるとは限りません。一方、一定の条件のもとでは、正直戦略の組とは異なる戦略の組がベイジアンナッシュ均衡になり得ます。順番に解説します。

SIPVモデルを分析対象とした上で、第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡を明らかにします。モデルの復習です。SIPVモデルでは入札者たちの利得関数に関して非外部性、準線型性、リスク中立性、私的価値を仮定するため、入札者\(i\in I\)が状態\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)において結果\(\left( a_{I},t_{I}\right)\in A\times \mathbb{R} ^{n}\)から得る利得は、\begin{equation*}u_{i}\left( a_{I},t_{I},\theta _{I}\right) =a_{i}\cdot \theta _{i}-t_{i}
\end{equation*}であり、オークションの主催者が得る利得は、\begin{equation*}
\sum_{i\in I}t_{i}
\end{equation*}となります。加えて、SIPVモデルでは入札者たちのタイプに関して共通事前分布、分布独立性、分布対称性を仮定します。つまり、すべての入札者が同一のタイプ集合\begin{equation*}
\left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] \subset \mathbb{R} \end{equation*}を共有するとともに、それぞれの入札者\(i\)のタイプ\(\theta _{i}\)の分布は同一の分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)および密度関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されます。つまり、入札者\(i\)のタイプ\(\theta _{i}\)の値が\(x\in \mathbb{R} \)以下である確率が\(F\left(x\right) \)であるということです。また、\(f\)が連続である場合には、微分積分学の基本定理より、\begin{equation*}\frac{d}{dx}F\left( x\right) =f\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。加えて、入札者たちのタイプ\(\theta_{1},\cdots ,\theta _{n}\)は互いに独立です。つまり、同時分布関数\(F_{I}:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R} \)が存在して、任意の状態\(\theta _{I}\in \left( \theta _{1},\cdots ,\theta_{n}\right) \in \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] ^{n}\)に対して、\begin{equation*}F_{I}(\theta _{I})=F(\theta _{1})\times \cdots \times F(\theta _{n})
\end{equation*}という関係が成り立つということです。

以上の仮定のもと、入札者集合が、\begin{equation*}
I=\left\{ 1,\cdots ,n\right\}
\end{equation*}であるものとします。入札者\(i\in I\)とは異なる\(n-1\)人の入札者たちのタイプの中でも最大の値を特定する確率変数を\(\Omega _{-i}^{1}\)で表記するとともに、その確率分布を描写する分布関数を\(\Psi _{-i}^{1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)で表記し、密度関数を\(\psi _{-i}^{1}:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)で表記します。入札者\(i\in I\)と値\(x\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、入札者\(i\)以外の任意の入札者\(j\)のタイプが\(x\)以下である確率は\(F\left( x\right) \)であるため、入札者\(i\)以外の\(n-1\)人の入札者たちのタイプの最大値が\(x\)である確率は、\begin{equation}\Psi _{-i}^{1}\left( x\right) =\left[ F\left( x\right) \right] ^{n-1}
\quad \cdots (1)
\end{equation}となります。このとき、\begin{eqnarray*}
\psi _{-i}^{1}\left( x\right) &=&\frac{d}{dx}\Psi _{-i}^{1}\left( x\right)
\quad \because \text{分布関数と密度関数の関係} \\
&=&\frac{d}{dx}\left[ F\left( x\right) \right] ^{n-1}\quad \because \left(
1\right) \\
&=&\left( n-1\right) \cdot \left[ F\left( x\right) \right] ^{n-2}\cdot \frac{d}{dx}F\left( x\right) \\
&=&\left( n-1\right) \cdot \left[ F\left( x\right) \right] ^{n-2}\cdot
f\left( x\right) \quad \because \text{分布関数と密度関数の関係}
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
\psi _{-i}^{1}\left( x\right) =\left( n-1\right) \cdot \left[ F\left(
x\right) \right] ^{n-2}\cdot f\left( x\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}という関係もまた成立することに注意してください。

入札者\(i\in I\)とそのタイプ\(\theta _{i}\in \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] \)をそれぞれ任意に選びます。第二価格封印オークション\(\left(a^{II},t^{II}\right) \)の均衡である正直戦略の組\(\theta _{I}\)においてタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が商品を落札する確率は、他の入札者たちのタイプがいずれも\(\theta _{i}\)以下である確率に等しいため、\(\left(1\right) \)よりそれは、\begin{equation}\Psi _{-i}^{1}\left( \theta _{i}\right) =\left[ F\left( \theta _{i}\right) \right] ^{n-1} \quad \cdots (3)
\end{equation}となります。また、第二価格封印オークションにおいて勝者は自分以外の入札者たちによる入札額の中の最大値に等しい金額を支払うため、タイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が勝者である場合に支払う金額の期待値は、自身のタイプ\(\theta _{i}\)が最大であるという条件のもとでの\(2\)番目に大きいタイプの条件付き期待値であり、それは、\begin{eqnarray*}E\left[ \Omega _{-i}^{1}\ |\ \theta _{i}>\Omega _{-i}^{1}\right] &=&\frac{\int_{\underline{\theta }}^{\theta _{i}}\left[ x\cdot \psi _{-i}^{1}\left(
x\right) \right] dx}{\Psi _{-i}^{1}\left( \theta _{i}\right) }\quad \because
\text{条件付き期待値の定義} \\
&=&\frac{\int_{\underline{\theta }}^{\theta _{i}}\left[ x\cdot \left(
n-1\right) \cdot \left[ F\left( x\right) \right] ^{n-2}\cdot f\left(
x\right) \right] dx}{\left[ F\left( \theta _{i}\right) \right] ^{n-1}}\quad
\because \left( 2\right) ,\left( 3\right)
\end{eqnarray*}となります。以上を踏まえた上で、入札者\(i\in I\)に対して、それぞれのタイプ\(\theta _{i}\in \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] \)に対して、\begin{eqnarray*}s_{i}\left( \theta _{i}\right) &=&E\left[ \Omega _{-i}^{1}\ |\ \theta
_{i}>\Omega _{-i}^{1}\right] \\
&=&\frac{\int_{\underline{\theta }}^{\theta _{i}}\left[ x\cdot \left(
n-1\right) \cdot \left[ F\left( x\right) \right] ^{n-2}\cdot f\left(
x\right) \right] dx}{\left[ F\left( \theta _{i}\right) \right] ^{n-1}}
\end{eqnarray*}を定める純粋戦略\(s_{i}:\left[\underline{\theta },\overline{\theta }\right] \rightarrow \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] \)を定義します。

以上のように定義された純粋戦略\(s_{i}\)から構成される組\(s_{I}\)は第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡になります。

命題(第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡)
単一オークションのSIPVモデルを想定する。すなわち、すべての入札者が同一のタイプ集合\(\left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right]\subset \mathbb{R} \)を共有するとともに、任意の入札者\(i\in I\)のタイプ\(\theta _{i}\in \Theta \)の分布が同一の分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)および密度関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)によって記述されるものとする。加えて、\(f\)は連続関数であるものとする。さらに、入札者たちのタイプ\(\theta _{1},\cdots ,\theta _{n}\)は互いに独立であるものとする。つまり、同時分布関数\(F_{I}:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \left[ 0,1\right] \)が存在して、任意の状態\(\theta _{I}\in \left(\theta _{1},\cdots ,\theta _{n}\right) \in \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] ^{n}\)に対して、\begin{equation*}F_{I}(\theta _{I})=F(\theta _{1})\times \cdots \times F(\theta _{n})
\end{equation*}が成り立つものとする。入札者\(i\in I\)の純粋戦略\(s_{i}:\left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right]\rightarrow \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] \)はそれぞれの\(\theta _{i}\in \left[ \underline{\theta },\overline{\theta }\right] \)に対して、\begin{equation*}s_{i}\left( \theta _{i}\right) =\frac{\int_{\underline{\theta }}^{\theta
_{i}}\left[ x\cdot \left( n-1\right) \cdot \left[ F\left( x\right) \right] ^{n-2}\cdot f\left( x\right) \right] dx}{\left[ F\left( \theta _{i}\right) \right] ^{n-1}}
\end{equation*}を定めるものとする。以上の純粋戦略からなる組\(s_{I}\in S_{I}\)は、第一価格封印オークション\(\left( a,t\right) \)のもとでベイジアンナッシュ均衡になる。
証明

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例(第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡)
単一オークションのSIPVモデルにおいて、入札者たちのタイプが集合\(\left[ 0,100\right] \)上の連続一様分布にしたがって分布しているものとします。つまり、確率密度関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{1}{100} & \left( if\ 0\leq x\leq 100\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるとともに、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<0\right) \\
\frac{x}{100} & \left( if\ 0\leq x<100\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 100\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるということです。入札者\(i\in I\)およびそのタイプ\(\theta _{i}\in \left[ 0,100\right] \)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}\frac{\int_{0}^{\theta _{i}}\left[ x\cdot \left( n-1\right) \cdot \left[
F\left( x\right) \right] ^{n-2}\cdot f\left( x\right) \right] dx}{\left[
F\left( \theta _{i}\right) \right] ^{n-1}} &=&\frac{\int_{0}^{\theta _{i}}\left[ x\cdot \left( n-1\right) \cdot \left( \frac{x}{100}\right)
^{n-2}\cdot \frac{1}{100}\right] dx}{\left( \frac{\theta _{i}}{100}\right)
^{n-1}} \\
&=&\frac{\left( n-1\right) \int_{0}^{\theta _{i}}\left( \frac{x}{100}\right)
^{n-1}dx}{\left( \frac{\theta _{i}}{100}\right) ^{n-1}} \\
&=&\frac{\left( n-1\right) \left[ \frac{100}{n}\left( \frac{x}{100}\right)
^{n}\right] _{0}^{\theta _{i}}}{\left( \frac{\theta _{i}}{100}\right) ^{n-1}}
\\
&=&\left( \frac{n-1}{n}\right) \theta _{i}
\end{eqnarray*}となるため、第一価格封印オークションにおける入札者\(i\)の均衡戦略\(s_{i}:\left[ 0,100\right] \rightarrow \left[ 0,100\right] \)はそれぞれの\(\theta _{i}\in \left[ 0,100\right] \)に対して、\begin{equation*}s_{i}\left( \theta _{i}\right) =\left( \frac{n-1}{n}\right) \theta _{i}
\end{equation*}を定めます。したがって、先の命題より、第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡は、\begin{equation*}
s_{I}\left( \theta _{I}\right) =\left( \frac{n-1}{n}\theta _{1},\cdots ,\frac{n-1}{n}\theta _{n}\right)
\end{equation*}となります。つまり、すべての入札者が自身の支払い意思額の\(\frac{n-1}{n}\)に相当する金額を入札することが均衡になります。したがって、特に、入札者が2人の場合の均衡入札額は、\begin{equation*}\left( s_{1}\left( \theta _{1},\theta _{2}\right) ,s_{2}\left( \theta
_{1},\theta _{2}\right) \right) =\left( \frac{\theta _{1}}{2},\frac{\theta
_{2}}{2}\right)
\end{equation*}となります。つまり、両者がともに自身の支払い意思額の半分の金額を入札することが均衡になります。したがって、彼らの真のタイプ\(\left( \theta_{1},\theta _{2}\right) \)が、\begin{equation*}\theta _{1}>\theta _{2}
\end{equation*}を満たす場合、両者の均衡入札額の間には、\begin{equation*}
s_{1}\left( \theta _{1},\theta _{2}\right) =\frac{\theta _{1}}{2}>\frac{\theta _{2}}{2}=s_{2}\left( \theta _{1},\theta _{2}\right)
\end{equation*}という関係が成立するため、第一価格封印オークションの定義より、均衡結果は「入札者\(1\)が商品を落札して\(\frac{\theta _{1}}{2}\)だけ支払う一方で、入札者\(2\)は商品を落札できず所得移転も課されない」というものになります。したがって、入札者\(1\)の均衡利得は、\begin{equation*}\theta _{1}\cdot 1-\frac{\theta _{1}}{2}=\theta _{1}-\frac{\theta _{1}}{2}=\frac{\theta _{1}}{2}
\end{equation*}である一方で、入札者\(2\)の均衡利得は、\begin{equation*}\theta _{2}\cdot 0-0=0
\end{equation*}となります。

 

第一価格封印オークションの狭義事後効率性

引き続き、SIPVモデルを想定します。メカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでベイジアンナッシュ均衡\(s_{I}\in S_{I}\)が存在する場合、\(\left( a,t\right) \)が狭義事後効率的であることとは、状態\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)を任意に選んだとき、それに対して\(\left( a,t\right) \)が定める均衡結果\(\left( a\left( s_{I}\left(\theta _{I}\right) \right) ,t\left( \left( \theta _{I}\right) \right) \right) \)が\(\theta _{I}\)のもとで狭義パレート効率的であること意味します。

一方、メカニズム\(\left(a,t\right) \)のもとでベイジアンナッシュ均衡\(s_{I}\in S_{I}\)が存在する場合、\(\left(a,t\right) \)が配分効率的であることとは、状態\(\theta_{I}\in \Theta _{I}\)を任意に選んだとき、それに対して\(\left( a,t\right) \)が定める均衡配分\(a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \)のもとで社会的余剰が最大化されること、すなわち、任意の\(\theta _{I}\in\Theta _{I}\)について、\begin{equation*}\sum_{i\in I}a_{i}\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \cdot \theta
_{i}=\max_{a_{I}\in A}\sum_{i\in I}a_{i}\cdot \theta _{i}
\end{equation*}が成り立つことを意味します。SIPVモデルにおいて、メカニズムが狭義パレート効率的であることと配分効率的であることは必要十分です。

以前に明らかにしたように、SIPVモデルにおけるメカニズム\(\left( a,t\right) \)を構成する配分ルール\(a\)が上位落札性を満たすとともに、\(\left( a,t\right) \)が遂行する純粋戦略の組\(s_{I}\in S_{I}\)が対称的かつ単調増加である場合には、\(\left( a,t\right) \)は狭義事後効率的メカニズムになることが保証されます。ただし、配分ルール\(a\)が上位落札性を満たすこととは、任意の\(\hat{\theta}_{I}\in \Theta _{I}\)に対して、\begin{equation*}a_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
1 & \left( if\ \hat{\theta}_{i}>\max \left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in
I\backslash \left\{ i\right\} \right\} \right) \\
0 & \left( if\ \hat{\theta}_{i}<\max \left\{ \hat{\theta}_{j}\ |\ j\in
I\backslash \left\{ i\right\} \right\} \right)
\end{array}\right.
\end{equation*}が成り立つことを意味します。また、メカニズム\(\left( a,t\right) \)が遂行する純粋戦略の組\(s_{I}\in S_{I}\)が対称的であることとは、\begin{equation*}\forall i\in I,\ \forall j\in I\backslash \left\{ j\right\} ,\ \forall
\theta _{I}\in \Theta _{I}:\left[ \theta _{i}=\theta _{j}\Rightarrow
s_{i}\left( \theta _{i}\right) =s_{j}\left( \theta _{j}\right) \right] \end{equation*}が成り立つことを意味し、単調増加であることとは、\begin{equation*}
\forall i\in I,\ \forall \theta _{i},\theta _{i}^{\prime }\in \Theta _{i}:
\left[ \theta _{i}>\theta _{i}^{\prime }\Rightarrow s_{i}\left( \theta
_{i}\right) >s_{i}\left( \theta _{i}^{\prime }\right) \right] \end{equation*}が成り立つことを意味します。

第一価格封印オークションの配分ルールは上位落札性を満たすとともに、先に示した第一価格封印オークションのもとでのベイジアンナッシュ均衡は対称的かつ単調増加であるため、第一価格封印オークションは狭義事後効率的です。

命題(第一価格封印オークションの狭義事後効率性)
単一オークションのSIPVモデルにおいて、第一価格封印オークション\(\left( a,t\right) \)は狭義事後効率的である。
証明

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例(第一価格封印オークションの事後効率性)
単一オークションのSIPVモデルにおいて、入札者たちのタイプが集合\(\left[ 0,100\right] \)上の連続一様分布にしたがって分布しているものとします。つまり、確率密度関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{1}{100} & \left( if\ 0\leq x\leq 100\right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるとともに、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<0\right) \\
\frac{x}{100} & \left( if\ 0\leq x<100\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 100\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるということです。この場合、先に明らかにしたように、第一価格封印オークションにおけるベイジアンナッシュ均衡は、\begin{equation}
s_{I}\left( \theta _{I}\right) =\left( \frac{n-1}{n}\theta _{1},\cdots ,\frac{n-1}{n}\theta _{n}\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}となります。入札者たちのタイプ\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)において、入札者\(i\)のタイプ\(\theta _{i}\)が最高額であるものとします。つまり、\begin{equation}\theta _{i}>\max \left\{ \theta _{j}\ |\ j\in I\backslash \left\{ i\right\}
\right\} \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立つ状況を想定するということです。この場合には、\begin{eqnarray*}
s_{i}\left( \theta _{I}\right) &=&\frac{n-1}{n}\theta _{i}\quad \because
\left( 1\right) \\
&>&\max \left\{ \frac{n-1}{n}\theta _{j}\ |\ j\in I\backslash \left\{
i\right\} \right\} \quad \because \left( 2\right) \\
&=&\max \left\{ s_{j}\left( \theta _{I}\right) \ |\ j\in I\backslash \left\{
i\right\} \right\} \quad \because \left( 1\right)
\end{eqnarray*}が成り立つため、第一価格封印オークションの定義より、入札者\(i\)が商品を落札します。この場合の社会的余剰は、\begin{eqnarray*}\sum_{j\in I}a_{j}\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \cdot \theta
_{j} &=&a_{i}\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \cdot \theta
_{i}+\sum_{j\in I\backslash \left\{ i\right\} }a_{j}\left( s_{I}\left(
\theta _{I}\right) \right) \cdot \theta _{j} \\
&=&1\cdot \theta _{i}+\sum_{j\in I\backslash \left\{ i\right\} }0\cdot
\theta _{j} \\
&=&\theta _{i}
\end{eqnarray*}となりますが、\(\left( 2\right) \)より、この結果は配分効率的です。SIPVモデルを想定しているため、この結果は狭義事後効率的でもあります。以上の結果は先の命題の主張と整合的です。

 

第一価格封印オークションの事後個人合理性

単一財オークション環境におけるメカニズム\(\left( a,t\right) \)が事後個人合理的であることとは、入札額の組\(\hat{\theta}_{I}\)を任意に選んだとき、それに対して\(\left( a,t\right) \)が定める結果\(\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) \)が\(\hat{\theta}_{I}\)のもとで事後個人合理的であること、すなわち、\begin{equation*}\forall \hat{\theta}_{I}\in \Theta _{I},\ \forall i\in I:u_{i}\left( a\left(
\hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,\hat{\theta}_{I}\right) \geq 0
\end{equation*}が成り立つことを意味します。特に、非外部性、準線型性、リスク中立性、私的価値の仮定が成り立つ場合、入札者\(i\in I\)が状態\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)において結果\(\left( a_{I},t_{I}\right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}\)から得る利得は、\begin{equation*}u_{i}\left( a_{I},t_{I},\theta _{I}\right) =a_{i}\cdot \theta _{i}-t_{i}
\end{equation*}となるため、メカニズム\(\left( a,t\right) \)が事後個人合理的であることとは、\begin{equation*}\forall \hat{\theta}_{I}\in \Theta _{I},\ \forall i\in I:a_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \cdot \hat{\theta}_{i}-t_{i}\left( \hat{\theta}_{I}\right) \geq 0
\end{equation*}が成り立つことを意味します。以上の仮定のもとで第一価格封印オークションは事後個人合理性を満たします。

命題(第一価格封印オークションの事後個人合理性)
単一財オークション環境において非外部性、準線型性、リスク中立性、私的価値の仮定が成り立つ場合、第一価格封