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メカニズムのもとでのゲーム

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メカニズムのもとでのゲーム

仮に、オークションの主催者が単一財オークション市場の真の状態、すなわち入札者たちの真の支払い意思額を観察できるのであれば、観察した真の状態を基準に社会的に望ましい結果を特定し、それを遂行すればよいことになります。しかし、実際には、支払い意思額は入札者が持つ私的情報であるため、主催者は真の状態を観察できず、したがって社会的に望ましい結果を事前に特定できません。そこで、主催者は入札者たちに自身の支払い意思額を入札させた上で、申告された入札額の組を基準に社会的に望ましい結果を特定し、それを遂行しようとします。このような資源配分ルールをメカニズムと呼ばれる概念として定式化しました。ただ、メカニズムに直面したそれぞれの入札者は自身の真の支払い意思額を正直に申告するとは限りません。入札者は望ましい結果を得るために戦略的に行動しますが、その一環として、偽りの支払い意思額を入札する可能性があるからです。入札者の支払い意思額は私的情報であるため、入札者が嘘をついて真の支払い意思額とは異なる金額を入札しても、主催者はそれが嘘であるかどうかを知る術がないのです。入札者たちが偽りの支払い意思額を表明する場合、主催者は偽りの支払い意思額の組を基準に結果を決定することとなり、それは真の意味で社会的に望ましい結果とは異なるものになってしまう可能性があります。情報の非対称に起因するこのような問題をインセンティブの問題と呼びます。

インセンティブの問題を引き起こす原因が情報の非対称性である以上、インセンティブの問題を解決するためには、何らかの方法を通じて情報の非対称性を解消する必要があります。具体的には、それぞれの入札者にとって、自分の真の支払い意思額を正直に入札することが得であるようなメカニズムを設計すれば、そのようなメカニズムのもと、入札者たちは自分の真の支払い意思額を自ら進んで正直に入札するため、結果として情報の非対称性は解消されます。以上のことをよりテクニカルに表現すると、メカニズムを提示された入札者たちが直面する戦略的状況をゲームとして記述したとき、そのゲームにおいて、「すべての入札者が自身の支払い意思額を正直に入札する」ことが均衡になるのであれば、そのようなメカニズムのもとで情報の非対称性は解消されるということです。ただ、そもそも、そのようなメカニズムを設計することは可能なのでしょうか。こうした問いについて考えるために、まずは、メカニズムを提示された入札者たちが直面する戦略的状況をゲームとして記述します。

単一財オークション市場において、主催者はメカニズム\(\left( a,t\right):\Theta _{I}\rightarrow A\times \mathbb{R} ^{n}\)を設計し、それを入札者たちに提示します。仮にすべての入札者が提示されたメカニズム\(\left( a,t\right) \)に同意するのであれば、それぞれの入札者\(i\in I\)は自身の支払い意思額\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)を入札することになります。その際、他の入札者たちによる入札額を事前に観察できません。また、入札者は真の支払い意思額を正直に入札するとは限りません。いずれにせよ、入札者たちによる入札額の組\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)に対し、主催者はあらかじめ提示したメカニズム\(\left( a,t\right) \)にもとづいて結果\(\left( a\left( \theta _{I}\right),t\left( \theta _{I}\right) \right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}\)を選び取り、これを遂行します。その結果、それぞれの入札者\(i\)は商品を確率\(a_{i}\left(\theta _{I}\right) \)で入手するとともに所得移転\(t_{i}\left( \theta_{I}\right) \)を課せられます。メカニズム\(\left( a,t\right) \)を提示された入札者たちが直面する以上のような戦略的状況をゲームとみなした上で、それを\(G\left( a,t\right) \)と表記し、これをメカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでのゲームと呼ぶこととします。以降では、このゲーム\(G\left( a,t\right) \)を構成する要素を具体的に特定します。

まず、このゲームのプレイヤーはオークションに参加する入札者たちであるため、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)のプレイヤー集合は問題としている単一財オークション市場の入札者集合\(I\)と一致します。

それぞれの入札者\(i\in I\)は商品に対する支払い意思額\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)を私的情報として持っています。つまり、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)におけるプレイヤー\(i\)のタイプは支払い意思額\(\theta _{i}\)であり、タイプ集合は支払い意思額がとり得る値からなる集合\(\Theta _{i}\)と一致します。入札者\(i\)のタイプ\(\theta _{i}\)はタイプ集合\(\mathcal{\Theta }_{i}\)に属する様々な値を取り得ますが、\(\theta _{i}\)の真の値を知っているのは入札者\(i\)だけです。他の任意の入札者や主催者は、\(\theta _{i}\)のとり得る値の範囲\(\mathcal{\Theta }_{i}\)を知っていますが、その中のどの値が真の値であるかは知らないものと仮定することで、入札者\(i\)による支払い意思額が私的情報であるという状況を表現します。

メカニズム\(\phi \)に直面したそれぞれの入札者\(i\)は自身の支払い意思額\(\theta _{i}\)を入札する必要があります。したがって、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)において入札者\(i\)に与えられた行動は自身が申告する支払い意思額\(\theta _{i}\)であり、行動集合はタイプ集合\(\mathcal{\Theta }_{i}\)と一致します。それぞれのプレイヤーは自身の真の支払い意思額を正直に入札するとは限りません。

プレイヤーたちが選択する行動の組、すなわち入札額の組が\(\theta _{I}\in \Theta _{I}\)であるとき、それに対してメカニズム\(\left( a,t\right) \)は結果\(\left( a\left(\theta _{I}\right) ,t\left( \theta _{I}\right) \right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}\)を選び取ります。行動の組\(\theta _{I}\)が変われば結果\(\left( a\left( \theta _{I}\right) ,t\left( \theta_{I}\right) \right) \)も変化しますが、どのように変化するかはメカニズム\(\left(a,t\right) \)の内容に依存します。以上がゲーム\(G\left(a,t\right) \)において起こり得る結果です。

プレイヤー\(i\)が結果どうしを比較する評価体系は結果集合上に定義された利得関数\(u_{i}:A\times \mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R} \)として記述されます。以前に解説したように、一般に、プレイヤーが結果どうしを比較する利得関数\(u_{i}\)の形状はすべてのプレイヤーのタイプ\(\theta _{I}\)に依存するため、そのことを明示するために\(u_{i}\)を\(u_{i}\left( \cdot ,\theta_{I}\right) \)と表記します。つまり、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)におけるプレイヤー\(i\)の利得関数は\(u_{i}\left( \cdot ,\theta_{I}\right) :A\times \mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)であり、これは状態\(\theta _{I}\)に依存するため、プレイヤー\(i\)の利得関数がとり得る形状からなる集合は、\begin{equation*}\mathcal{U}_{i}=\left\{ u_{i}\left( \cdot ,\theta _{I}\right) \right\}
_{\theta _{I}\in \Theta _{I}}
\end{equation*}となります。

以上でゲーム\(G\left( a,t\right) \)の要素がすべて出揃いました。つまり、このゲームはプレイヤーである入札者が私的情報を持つ不完備情報ゲームであり、以下のようなベイジアンゲーム\begin{equation*}G\left( a,t\right) =\left( I,\left\{ \Theta _{i}\right\} _{i\in I},\left\{
\mathcal{U}_{i}\right\} _{i\in I}\right)
\end{equation*}として定式化されます。ただし、\(\mathcal{\Theta }_{i}\)は入札者\(i\)のタイプ集合と行動集合を兼ねています。これをメカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでのゲームと呼ぶこととします。

ゲーム\(G\left( a,t\right) \)を構成するすべての要素は入札者たちの共有知識です。それぞれの入札者\(i\in I\)は自身の真のタイプ\(\theta _{i}\)を知っていますが、他の入札者たちの真のタイプは知りません。入札者\(i\)が他の入札者たちについて知っていることは彼らのタイプがとり得る値の範囲\(\mathcal{\Theta }_{-i}\)だけです。したがって、真のタイプが\(\theta _{i}\)であるような入札者\(i\)が直面し得る状態からなる集合は、\begin{equation*}\left\{ \left( \theta _{i},\theta _{-i}\right) \right\} _{\theta _{-i}\in
\Theta _{-i}}
\end{equation*}となります。他の任意の入札者についても同様の議論が成立します。また、ベイジアンゲームの静学性と不完備性より、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)において入札者たちは以下の手順で意思決定を行います。

  1. 自身の真のタイプ\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)を知っているが他のプレイヤーたちの真のタイプを知らないそれぞれの入札者\(i\in I\)は自身のタイプ集合\(\mathcal{\Theta }_{i}\)の中から特定の支払い意思額\(\hat{\theta}_{i}\)を選択してそれを入札する。その際、他の入札者たちによる入札額を観察できない。入札者\(i\)による入札額\(\hat{\theta}_{i}\)は自身の真のタイプ\(\theta _{i}\)であるとは限らない。
  2. 入札者たちによる入札額の組\(\hat{\theta}_{I}\in \mathcal{\Theta }_{I}\)に対して、メカニズム\(\left( a,t\right) :\Theta _{I}\rightarrow A\times \mathbb{R} ^{n}\)が結果\(\left( a\left( \hat{\theta}_{I}\right),t\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}\)を定める。
  3. 真の状態\(\theta _{I}\)と入札者たちが選択した行動の組\(\hat{\theta}_{I}\)に応じて、それぞれの入札者\(i\)は利得関数\(u_{i}\left[ \theta _{I}\right] \)のもとで先の結果\(\left(a\left( \hat{\theta}_{I}\right) ,t\left( \hat{\theta}_{I}\right) \right) \)を評価する。

 

入札者の戦略

メカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでのゲーム\(G\left( a,t\right) \)において、仮にすべての入札者が真の状態\(\theta _{I}\)を把握しており、なおかつそのことが共有知識であるならば、それぞれの入札者\(i\in I\)の利得関数が\(u_{i}\left[\theta _{I}\right] \)であることが確定するため、入札者たちが直面する戦略的状況はもはや不完備情報ゲームではなく、以下のような完備情報ゲーム\begin{equation*}G\left( a,t,\theta _{I}\right) =\left\{ I,\left\{ \Theta _{i}\right\} _{i\in
I},\left\{ u_{i}\left[ \theta _{I}\right] \right\} _{i\in I}\right\}
\end{equation*}となります。ただし、\(I\)は入札者集合、\(\mathcal{\Theta }_{i}\)は入札者\(i\)の行動集合、\(u_{i}\left[ \theta _{I}\right] \)は入札者\(i\)の利得関数です。これを\(\theta _{I}\)のもとでの状態ゲームと呼ぶこととします。状態ゲーム\(G\left( a,t,\theta _{I}\right) \)は完備情報ゲームであるため、そこでの入札者の戦略とは、単純に、入札者が選択可能な行動の中から1つの行動を選ぶことを意味します。

しかし、実際には、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)において真の状態\(\theta _{I}\)を把握している入札者は存在せず、それぞれの入札者\(i\)は真の状態\(\theta _{I}\)に関する断片的な知識、すなわち自身の真のタイプ\(\theta _{i}\)しか知らないため、入札者は複数の状態ゲームに直面し得る中で意思決定を行う必要があります。具体的には、真のタイプが\(\theta _{i}\)であるような入札者が直面し得る状態ゲームからなる集合は、\begin{equation}\left\{ G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \right\} _{\theta
_{-i}\in \Theta _{-i}} \quad \cdots (1)
\end{equation}です。しかも、それぞれの入札者\(i\)は自身が直面し得るそれぞれの状態ゲーム\(G\left( a,t,\theta_{i},\theta _{-i}\right) \)に対して、そこで選択する行動をあらかじめ指定することはできません。なぜなら、入札者\(i\)は他の入札者たちのタイプ\(\theta _{-i}\)を観察できず、ゆえに自分が\(\left(1\right) \)に属するどの状態ゲームをプレーしているかを判別できないからです。したがって、入札者\(i\)は特定の行動\(\hat{\theta}_{i}\)を事前に選び、その1つの行動のもとで、自分が直面し得る\(\left( 1\right) \)に属するすべての状態ゲームに備えなければなりません。

入札者\(i\)は自身の真のタイプ\(\theta _{i}\)を知っているため、\(\theta _{i}\)のもとで直面し得る状態ゲームの集合\(\left( 1\right) \)に対してのみ1つの行動を定めればよいと考えるかもしれませんが、この考えは誤りです。他の入札者\(j\ \left( \not=i\right) \)の視点から考えてみると、入札者\(j\)にとっての最適な行動は入札者\(i\)の行動に依存するため、入札者\(j\)は入札者\(i\)の行動を予想しながら自身の行動を決定します。入札者\(i\)の行動は自身のタイプに依存しますが、入札者\(j\)は入札者\(i\)の真のタイプを知らない以上、\(\mathcal{\Theta }_{i}\)に属するそれぞれのタイプごとに、そこでの入札者\(i\)の行動を予想した上で、その予想を踏まえた上で自身の行動を決定します。つまり、入札者\(j\)の行動は入札者\(i\)のそれぞれのタイプのもとでの行動に依存します。逆に、入札者\(i\)の最適な行動は入札者\(j\)の行動に依存しますが、入札者\(j\)の行動が入札者\(i\)のそれぞれのタイプのもとでの行動に依存する以上、入札者\(i\)が自身の最適な行動を考えるためには、入札者\(i\)は自身の真のタイプとは限らない自身のそれぞれのタイプにおいて自分が何をするであろうか考える必要があります。つまり、真のタイプとは異なるそれぞれのタイプについても、入札者\(i\)はその場合に自身が選択するであろう行動をあらかじめ定める必要があります。

以上を踏まえると、メカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでのベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)においてそれぞれの入札者は、自身のそれぞれのタイプごとに自身が選択するであろう行動を包括的に定めておく必要があります。具体的には、ゲーム\(G\left( a,t\right) \)における入札者\(i\)の戦略は写像\begin{equation*}s_{i}:\Theta _{i}\rightarrow \Theta _{i}
\end{equation*}として定式化されます。この戦略\(s_{i}\)のもとで、入札者\(i\)は自分のタイプが\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)の場合には行動\(s_{i}\left( \theta_{i}\right) \in \Theta _{i}\)を選択します。言い換えると、自身のタイプが\(\theta _{i}\)である場合、戦略\(s_{i}\)のもとでは、入札者\(i\)は主催者に対して自身の支払い意思額が\(s_{i}\left( \theta_{i}\right) \)であると入札するということです。このような行動計画\(s_{i}\)を入札者の純粋戦略(pure strategy)と呼びます。

すべての入札者の純粋戦略の組を\(s_{I}=(s_{i})_{i\in I}\)で表し、入札者\(i\)以外の入札者たちの純粋戦略からなる組を\(s_{-i}=(s_{j})_{j\in I\backslash \left\{ i\right\} }\)で表します。\(s_{I}=\left( s_{i},s_{-i}\right) \)です。

入札者\(i\)が選択可能なすべての純粋戦略からなる集合を入札者\(i\)の戦略集合(strategy set)や戦略空間(strategy space)などと呼び、これを\(S_{i}\)で表します。\(s_{i}\in S_{i}\)です。すべての入札者の戦略集合の直積を\(S_{I}=\prod_{i\in I}S_{i}\)で表します。また、\(S_{-i}=\prod_{j\in I\backslash\left\{ i\right\} }S_{j}\)とします。\(s_{I}\in S_{I}\)かつ\(s_{-i}\in S_{-i}\)です。

 

入札者の信念

繰り返しになりますが、メカニズム\(\left( a,t\right) \)に直面した入札者\(i\)のタイプが\(\theta _{i}\)であるとき、彼が直面し得る状態ゲームからなる集合は\(\left\{ G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right)\right\} _{\theta _{-i}\in \Theta _{-i}}\)です。入札者\(i\)は自身のタイプ\(\theta _{i}\)を観察できますが、他の入札者たちのタイプ\(\theta _{-i}\)は観察できないため、自分のタイプが\(\theta _{i}\)の場合に\(\left\{ G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \right\} _{\theta_{-i}\in \Theta _{-i}}\)の中のどの状態ゲームを実際にプレーすることになるか識別できません。入札者\(i\)が純粋戦略\(s_{i}\)を選ぶこととは、自身のそれぞれのタイプ\(\theta _{i}\)に対して特定の行動\(s_{i}\left( \theta _{i}\right) \)を1つずつ事前に選び、その行動のもとで自分が直面し得る\(\left\{ G\left( a,t,\theta_{i},\theta _{-i}\right) \right\} _{\theta _{-i}\in \Theta _{-i}}\)に属するすべての状態ゲームに備えることを意味します。

こうした不確実な状況下で意思決定を迫られる入札者\(i\)は、自身のそれぞれのタイプ\(\theta _{i}\)に対して、\(\left\{G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \right\} _{\theta _{-i}\in
\Theta _{-i}}\)に属する状態ゲームがそれぞれどの程度の確率で起こり得るかを主観的に定めた上で、その予想にもとづいて意思決定を行うものとします。\(\left\{ G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right)\right\} _{\theta _{-i}\in \Theta _{-i}}\)に属するそれぞれの状態ゲームの発生確率を定めることは、\(\Theta _{-i}\)に属するそれぞれの値\(\theta _{-i}\)の発生確率を定めることに等しいため、入札者\(i\)のタイプの値が\(\theta _{i}\)であるときに設定する主観的確率は、タイプ集合が離散型である場合には、\begin{equation*}f_{i}:\Theta _{-i}\rightarrow \left[ 0,1\right] \end{equation*}という確率関数として定式化されます。つまり、入札者\(i\)は自身のタイプの値が\(\theta _{i}\)であるとき、他の入札者たちのタイプの値が\(\theta _{-i}\)である確率、すなわち自分がプレーする状態ゲームが\(G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \)である確率を\(f_{i}\left( \theta _{-i}\right) \)と予想します。

ただし、入札者\(i\)が持つ私的情報\(\theta _{i}\)の中には、他の入札者たちの私的情報\(\theta _{-i}\)の起こりやすさを予想する上で参考になる情報が含まれている可能性があります。そのような場合には、入札者\(i\)は\(\theta _{i}\)に含まれるそのような情報を参照しながら\(\theta _{-i}\)の確率分布を予想できるため、一般的には、入札者\(i\)が自身のタイプの値が\(\theta _{i}\)であるときに設定する主観的確率は、\begin{equation*}f_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) :\Theta _{-i}\rightarrow \left[ 0,1\right] \end{equation*}という条件付き確率関数として定式化すべきです。つまり、入札者\(i\)は自身のタイプの値が\(\theta _{i}\)であるとき、他の入札者たちのタイプの値が\(\theta _{-i}\)である確率、すなわち自分がプレーする状態ゲームが\(G\left( a,t,\theta_{i},\theta _{-i}\right) \)である確率を条件付確率\(f_{i}\left( \theta _{-i}|\theta_{i}\right) \)として予想します。このような条件付き確率関数\(f_{i}\left( \cdot |\theta_{i}\right) \)をタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)の信念(belief)と呼びます。\(f_{i}\left(\cdot |\theta _{i}\right) \)は入札者\(i\)の主観的な予想であるため、これは入札者\(i\)の私的情報であり、入札者たちの共有知識ではありません。

繰り返しになりますが、メカニズムのもとでのベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)において、それぞれの入札者\(i\)は自身のタイプの真の値\(\theta _{i}^{\ast }\)のもとでの行動を考えるだけでなく、真の値とは限らないそれぞれの値\(\theta _{i}\)に対してもその場合に自分が選ぶであろう行動を考える必要があります。したがって、信念についても同様に、自身のタイプの真の値\(\theta _{i}^{\ast }\)のもとでの信念\(f_{i}\left( \cdot |\theta_{i}^{\ast }\right) \)だけでなく、真の値とは限らないそれぞれの値\(\theta _{i}\)に対しても、その場合に自分が抱くであろう信念\(f_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) \)をそれぞれ考えておく必要があります。つまり、ベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)において入札者\(i\)が意思決定を行うためには、自身のタイプのそれぞれの値のもとでの信念からなる体系\begin{equation*}f_{i}=\{f_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) \}_{\theta _{i}\in \Theta _{i}}
\end{equation*}が必要です。これを入札者\(i\)の信念(belief)と呼びます。タイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)の信念\(f_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) \)が入札者\(i\)の私的情報である以上、入札者\(i\)の信念\(f_{i}\)もまた入札者\(i\)の私的情報です。

任意のプレイヤー\(i\in I\)のタイプ集合が連続型\(\Theta _{i}=\left[ \underline{\theta }_{i},\overline{\theta }_{i}\right] \subset \mathbb{R} \)である場合、タイプ\(\theta _{i}\)のプレイヤー\(i\)の信念は条件付き同時分布関数\begin{equation*}F_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) :\Theta _{-i}\rightarrow \left[ 0,1\right] \end{equation*}として定式化されます。つまり、プレイヤー\(i\)は自分のタイプが\(\theta _{i}\)という条件のもとで、他のプレイヤーたちのタイプの組が\(\theta _{-i}\)以下である確率を\(F_{i}\left( \theta _{-i}|\theta _{i}\right) \)と予想します。\(F_{i}\left( \cdot |\theta_{i}\right) \)はプレイヤー\(i\)の主観的な予想であるため、これはプレイヤー\(i\)の私的情報であり、プレイヤーたちの共有知識ではありません。入札者\(i\)の信念は、\begin{equation*}F_{i}=\left\{ F_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) \right\} _{\theta
_{i}\in \Theta _{i}}
\end{equation*}となります。

 

入札者の中間期待利得

メカニズムのもとでのベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)において入札者\(i\)は自身のタイプ\(\theta _{i}\)を観察できますが、他の入札者たちのタイプ\(\theta _{-i}\)は観察できないため、自分のタイプが\(\theta _{i}\)の場合に\(\left\{ G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \right\} _{\theta_{-i}\in \Theta _{-i}}\)の中のどの状態ゲームを実際にプレーすることになるか識別できません。入札者\(i\)が純粋戦略\(s_{i}:\Theta _{i}\rightarrow \Theta _{i}\)を選ぶこととは、自身のそれぞれのタイプ\(\theta _{i}\)に対して特定の行動\(s_{i}\left( \theta_{i}\right) \)を1つずつ事前に選び、その行動のもとで自分が直面し得る\(\left\{ G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \right\}_{\theta _{-i}\in \Theta _{-i}}\)に属するすべての状態ゲームに備えることを意味します。では、入札者\(i\)は何を基準に最適な純粋戦略を選べばよいのでしょうか。順番に考えていきます。

まずは、ベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)において入札者\(i\)が観察可能な情報を整理しましょう。入札者\(i\)は自身のタイプ\(\theta _{i}\)を観察できます。また、任意の入札者のタイプ集合と行動集合は共有知識であるため、写像\(s_{j}:\Theta _{j}\rightarrow \Theta _{j}\)として定義される他の任意の入札者\(j\ \left( \not=i\right) \)の任意の純粋戦略\(s_{j}\)は共有知識です。したがって、入札者\(i\)にとって、他の入札者たちの純粋戦略の組からなる集合\(S_{-i}\)や、他の入札者たちのタイプ集合\(\Theta _{-i}\)は観察可能です。

以上を踏まえた上で、入札者\(i\)は自身のタイプが\(\theta _{i}\)であるときに、他の入札者たちのタイプ\(\theta _{-i}\)と彼らが選ぶ純粋戦略\(s_{-i}\)を所与としたとき、自身の純粋戦略\(s_{i}\)がもたらす利得をどのように計算すればよいでしょうか。この場合、入札者たちが選ぶ行動の組は、\begin{equation*}s_{I}\left( \theta _{I}\right) \in \Theta _{I}
\end{equation*}であり、これに対してメカニズム\(\left( a,t\right) \)は結果\begin{equation*}\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,t\left( s_{I}\left(
\theta _{I}\right) \right) \right) \in A\times \mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}を定めます。この状態\(\theta _{I}\)における入札者\(i\)の利得関数は\(u_{i}\left( \cdot ,\cdot,\theta _{I}\right) :A\times \mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R} \)であるため、以上の結果から入札者\(i\)が得る利得は、\begin{equation*}u_{i}\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,t\left(
s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,\theta _{I}\right) \in \mathbb{R} \end{equation*}となります。繰り返しになりますが、この利得はタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が純粋戦略\(s_{i}\)を選んだときに、他の入札者たちのタイプが\(\theta _{-i}\)で彼らが選ぶ純粋戦略が\(s_{-i}\)であるという前提のもと、入札者\(i\)が得る利得に相当します。言い換えると、これは状態ゲーム\(G\left( a,t,\theta _{i},\theta _{-i}\right) \)において純粋戦略の組\(\left( s_{i},s_{-i}\right) \)が入札者\(i\)にもたらす利得に相当します。

タイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)は他の入札者たちのタイプ\(\theta _{-i}\)の真の値を知りませんが、\(\theta _{-i}\)がとり得る値の集合\(\Theta _{-i}\)を把握しているため、\(\Theta _{-i}\)に属するそれぞれの\(\theta _{-i}\)に対して上の利得\(u_{i}\left( a\left( s_{I}\left(\theta _{I}\right) \right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right)
,\theta _{I}\right) \)を計算できます。さらに、\(\theta _{-i}\)がしたがう分布の予想を、タイプ\(\theta _{i}\)のもとでの信念\(f_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) :\Theta_{-i}\rightarrow \mathbb{R} \)として主観的に形成しているため、結局、タイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が純粋戦略の組\(s_{I}=\left(s_{i},s_{-i}\right) \)から得る利得の期待値を計算できます。具体的には、入札者たちのタイプが離散型の確率変数である場合、タイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が純粋戦略の組\(s_{I}\)から得る利得の期待値は、同時確率関数として表されるタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)の信念\(f_{i}\left( \cdot |\theta _{i}\right) \)を用いると、\begin{equation*}\sum_{\theta _{-i}\in \Theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( s_{I}\left(
\theta _{I}\right) \right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right)
,\theta _{I}\right) \cdot f_{i}\left( \theta _{-i}|\theta _{i}\right) \right] \end{equation*}となります。一方、入札者たちのタイプが連続型の確率変数である場合、タイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が純粋戦略の組\(s_{I}\)から得る利得の期待値は、同時密度関数として表されるタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)の信念\(f_{i}\left( \cdot |\theta_{i}\right) \)を用いると、\begin{equation*}\int_{\theta _{-i}\in \Theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( s_{I}\left(
\theta _{I}\right) \right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right)
,\theta _{I}\right) \cdot f_{i}\left( \theta _{-i}|\theta _{i}\right) \right] d\theta _{-i}
\end{equation*}となります。これらの値はいずれも、ベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)においてタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が純粋戦略\(s_{i}\)を選んだときに、他の入札者たちが選ぶ純粋戦略が\(s_{-i}\)であるという前提のもとで、入札者\(i\)が得る利得の期待値に相当します。これをタイプ\(\theta _{i}\)の入札者\(i\)が純粋戦略の組\(s_{I}=\left( s_{i},s_{-i}\right) \)のもとで直面する中間期待利得(interim expected payoff)や条件付き期待利得などと呼び、\begin{equation*}E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right)
\right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,\theta _{I}\right)
\ |\ \theta _{i}\right] \end{equation*}で表記します。

 

ベイジアン仮説

メカニズムのもとで入札者たちが直面する戦略的状況をベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)として定式化したとき、それぞれの入札者は自身の中間利得を最大化するために最適な純粋戦略を選択するものと仮定します。具体的には、ベイジアンゲームではそれぞれの入札者は自身のタイプを知っていますが、他の入札者たちのタイプを事前に観察できません。このような不確実性下での意思決定に際して、それぞれの入札者\(i\)は自身のタイプ\(\theta _{i}\)と信念\(f_{i}\)にもとづいて他の入札者たちのタイプ\(\theta _{-i}\)を予想し、その予想から算出される中間期待利得を最大化するような純粋戦略を採用するものと仮定します。このような仮定をベイジアン仮説(Bayesian hypothesis)と呼びます。

 

ベイジアンナッシュ均衡

メカニズムのもとでのベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)において、入札者\(i\in I\)が他の入札者たちの純粋戦略の組\(s_{-i}\in S_{-i}\)に直面したときに、自分はある純粋戦略\(s_{i}\in S_{i}\)を選べば、自身のタイプ\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)によらず常に自身の中間期待利得を最大化できるのであれば、\(s_{i}\)を\(s_{-i}\)に対する最適戦略(optimal strategy)と呼びます。以下では最適戦略の概念を定式化しましょう。

入札者\(i\)の純粋戦略\(s_{i}\)が他の入札者たちの純粋戦略\(s_{-i}\)に対する最適戦略であるものとします。状態が\(\theta_{I}=\left( \theta _{i},\theta _{-i}\right) \)であるとき、以上の純粋戦略の組\(s_{I}=\left( s_{i},s_{-i}\right) \)のもとで入札者たちが選択する行動の組は\(s_{I}\left( \theta_{I}\right) =\left( s_{i}\left( \theta _{i}\right) ,s_{-i}\left( \theta
_{-i}\right) \right) \)であり、メカニズムはこれに対して結果\(\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right)\right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \right) \)を定めます。以上を踏まえると、この場合に入札者\(i\)が直面する中間期待利得は、\begin{equation}E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right)
\right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,\theta _{I}\right)
\ |\ \theta _{i}\right] \quad \cdots (1)
\end{equation}となります。一方、状態が\(\theta _{I}=\left( \theta _{i},\theta _{-i}\right) \)であるとき、入札者\(i\)が先の最適戦略\(s_{i}\)にしたがうとは限らず、何らかの支払い意思額\(\hat{\theta}_{i}\in \Theta _{i}\)を入札する場合、入札者たちによる入札額の組は\(\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right) \)であり、メカニズムはこれに対して結果\(\left( a\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right),t\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right) \right) \)を定めます。以上を踏まえると、この場合に入札者\(i\)が直面する中間期待利得は、\begin{equation}E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left(
\theta _{-i}\right) \right) ,t\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta
_{-i}\right) \right) ,\theta _{I}\right) \ |\ \theta _{i}\right] \quad \cdots (2)
\end{equation}となります。最適戦略のもとでは入札者\(i\)の中間期待利得が最大化されるため、入札者が選択する入札額\(\hat{\theta}_{i}\)によらず、\(\left(1\right) \)が\(\left( 2\right) \)以上になることが保証されます。以上を踏まえると、入札者\(i\)の純粋戦略\(s_{i}\)が他の入札者たちの純粋戦略\(s_{-i}\)に対する最適戦略であることとは、自身のタイプ\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)を任意に選んだ上で、さらに入札額\(\hat{\theta}_{i}\in \Theta _{i}\)を任意に選んだときに、\begin{equation*}E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right)
\right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,\theta _{I}\right)
\ |\ \theta _{i}\right] \geq E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right) ,t\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right) ,\theta _{I}\right) \ |\
\theta _{i}\right] \end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、入札者\(i\)の純粋戦略\(s_{i}\)が他の入札者による純粋戦略の組\(s_{-i}\)に対する最適戦略であることとは、入札者\(i\)がどのようなタイプ\(\theta _{i}\)の場合でも、それぞれの場合において、\(s_{i}\)が指示する行動\(s_{i}\left(\theta _{i}\right) \)が、常に\(\theta _{i}\)のもとでの中間期待利得を最大化するということです。

最適戦略の概念は、他の入札者たちの純粋戦略からなる特定の組\(s_{-i}\)に対して定義されるものであることに注意する必要があります。つまり、\(s_{i}\)が\(s_{-i}\)に対する最適戦略である場合、この\(s_{i}\)は\(s_{-i}\)とは異なる\(s_{-i}^{\prime }\)に対する最適戦略であるとは限りません。

メカニズムのもとでのベイジアンゲーム\(G\left( a,t\right) \)において、純粋戦略の組\(s_{I}=\left( s_{i}\right) _{i\in I}\)がお互いに最適戦略の組になっているのであれば、すなわち、エージェント\(i\in I\)とそのタイプ\(\theta _{i}\in \Theta _{i}\)およびその入札額\(\hat{\theta}_{i}\in \Theta_{i}\)をそれぞれ任意に選んだときに、\begin{equation*}E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right)
\right) ,t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) ,\theta _{I}\right)
\ |\ \theta _{i}\right] \geq E_{\theta _{-i}}\left[ u_{i}\left( a\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right) ,t\left( \hat{\theta}_{i},s_{-i}\left( \theta _{-i}\right) \right) ,\theta _{I}\right) \ |\
\theta _{i}\right] \end{equation*}が成り立つのであれば、そのような純粋戦略の組\(s_{I}\)をベイジアンナッシュ均衡(Bayesian Nash equilibrium)と呼びます。

次回は共通事前分布の仮定とハーサニ変換について解説します。

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