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有理数指数の累乗

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正の実数の有理数乗

復習になりますが、正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と自然数\(n\in \mathbb{N} \)が与えられたとき、\(x\)の\(n\)乗を、\begin{equation*}x^{n}=\overset{n\text{個}}{\overbrace{x\cdot \cdots \cdot x}}
\end{equation*}と定義した場合、これは以下の指数法則を満たします。

命題(指数法則)
以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall m,n\in \mathbb{N} :x^{m}\cdot x^{n}=x^{m+n} \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall m,n\in \mathbb{N} :\left( m>n\Rightarrow \frac{x^{m}}{x^{n}}=x^{m-n}\right) \\
&&\left( c\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall m,n\in \mathbb{N} :\left( x^{m}\right) ^{n}=x^{mn} \\
&&\left( d\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} _{++},\ \forall n\in \mathbb{N} :\left( xy\right) ^{n}=x^{n}y^{n} \\
&&\left( e\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} _{++},\ \forall n\in \mathbb{N} :\left( \frac{x}{y}\right) ^{n}=\frac{x^{n}}{y^{n}}
\end{eqnarray*}

累乗\(x^{n}\)の指数\(n\)を自然数から整数へ拡張した場合にも同様の命題が成り立つことを示しましたが、さらに指数を有理数へ拡張した場合にはどうでしょうか。また、そもそも指数が有理数であるような累乗をどのように定義すればよいでしょうか。有理数は整数\(z\in \mathbb{Z} \)と自然数\(n\in \mathbb{N} \)を用いて\(\frac{z}{n}\in \mathbb{Q} \)という形で表される実数であるため、\(x\)の有理数乗は、\begin{equation*}x^{\frac{z}{n}}
\end{equation*}と表記されますが、これをどのように定義すべきでしょうか。順番に考えていきましょう。

先の指数法則中の\(\left(c\right) \)において\(m=\frac{1}{n}\)とおくと、\begin{equation*}\left( x^{\frac{1}{n}}\right) ^{n}=x^{\frac{1}{n}n}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\left( x^{\frac{1}{n}}\right) ^{n}=x^{1}
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\left( x^{\frac{1}{n}}\right) ^{n}=x
\end{equation*}を得ます。そこで、以上の関係式によって\(x^{\frac{1}{n}}\)の定義とします。つまり、正の実数\(x\)と自然数\(n\)が与えられたとき、\begin{equation*}y^{n}=x
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\)として\(x^{\frac{1}{n}}\)を定義するということです。指数が有理数\(\frac{1}{n}\)であるような累乗\(x^{\frac{1}{n}}\)とは、それを\(n\)乗すると\(x\)になるような正の実数として定義されるということです。\(x^{\frac{1}{n}}\)を\(\sqrt[n]{x}\)と表記することもできるものと定めます。つまり、\begin{equation*}\left( \sqrt[n]{x}\right) ^{n}=n
\end{equation*}を満たす正の実数として\(\sqrt[n]{x}\)は定義されるということです。ただ、\(x\)と\(n\)が与えられたときに、それに対して上のように定義される正の実数\(x^{\frac{1}{n}}\)が存在することは必ずしも自明ではありません。\(x^{\frac{1}{n}}\)が存在することは後ほど証明することとして、とりあえず\(x^{\frac{1}{n}}\)が1つの実数として定まるものと仮定して話を進めます。

指数がより一般的な有理数\(\frac{m}{n}\)であるような累乗\(x^{\frac{m}{n}}\)をどのように定義すればよいでしょうか。仮に\(x^{\frac{m}{n}}=\left( x^{m}\right) ^{\frac{1}{n}}\)とするのであれば、これは指数が有理数\(\frac{1}{n}\)であるような累乗と解釈できます。つまり、\(x^{\frac{m}{n}}\)とは、それを\(n\)乗すると\(x^{m}\)になるような実数として理解できるため、先の議論を踏まえると、\begin{equation*}y^{n}=x^{m}
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\)として\(x^{\frac{m}{n}}\)を定義するのがもっともらしいと言えます。このとき、\begin{equation*}x^{\frac{m}{n}}=\sqrt[n]{x^{m}}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。以上で指数が有理数である場合の累乗の定義が完了しました。

 

指数が有理数であるような累乗の存在証明

繰り返しになりますが、正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と自然数\(n\in \mathbb{N} \)が与えられたとき、指数が\(\frac{1}{n}\)であるような累乗\(x^{\frac{1}{n}}\)もしくは\(\sqrt[n]{x}\)とは、\begin{equation*}y^{n}=x
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\in \mathbb{R} _{++}\)として定義されます。では、このような\(y\)は必ず存在するのでしょうか。証明には実数の連続性や関数の極限および連続性に関する知識が必要であるため、それらについて学んでから読み返してください。

命題(指数が有理数であるような累乗の存在証明)
正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と自然数\(n\in \mathbb{N} \)が与えられたとき、\begin{equation*}y^{n}=x
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\in \mathbb{R} _{++}\)が1つだけ存在する。
証明

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正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z\in \mathbb{Z} \)および自然数\(n\in \mathbb{N} \)が与えられたとき、指数が\(\frac{z}{n}\)であるような累乗\(x^{\frac{z}{n}}\)もしくは\(\sqrt[n]{x^{z}}\)とは、\begin{equation*}y^{n}=x^{z}
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\in \mathbb{R} _{++}\)として定義されます。では、このような\(y\)は必ず存在するのでしょうか。\(x^{z}\)は整数を指数とする累乗であるため、これは常に1つの実数として定まります。したがって先の命題より、上の関係を満たす正の実数\(y\)が存在することが示されました。

命題(指数が有理数であるような累乗の存在証明)
正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z\in \mathbb{Z} \)および自然数\(n\in \mathbb{N} \)が与えられたとき、\begin{equation*}y^{n}=x^{z}
\end{equation*}を満たす正の実数\(y\in \mathbb{R} _{++}\)が1つだけ存在する。

 

負の整数乗の解釈

有理数を指数とする累乗が常に存在することが明らかになりました。では、有理数を指数とする累乗についても指数法則は成立するのでしょうか。順番に確認していきましょう。

正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)を任意に選びます。有理数\(r\)は整数\(z\in \mathbb{Z} \)と自然数\(n\in \mathbb{N} \)を用いて、\begin{equation}r=\frac{z}{n} \quad \cdots (1)
\end{equation}という形で表すことができます。このとき、\begin{eqnarray*}
\left( x^{-r}\right) ^{n} &=&\left( x^{\frac{-z}{n}}\right) ^{n}\quad
\because \left( 1\right) \\
&=&\left( \sqrt[n]{x^{-z}}\right) ^{n} \\
&=&x^{-z}\quad \because \text{有理数指数の累乗の定義}
\end{eqnarray*}となる一方で、\begin{eqnarray*}
\left( \left( \frac{1}{x}\right) ^{r}\right) ^{n} &=&\left( \left( \frac{1}{x}\right) ^{\frac{z}{n}}\right) ^{n}\quad \because \left( 1\right) \\
&=&\left( \sqrt[n]{\left( \frac{1}{x}\right) ^{z}}\right) ^{n} \\
&=&\left( \frac{1}{x}\right) ^{z}\quad \because \text{有理数指数の累乗の定義} \\
&=&x^{-z}\quad \because \text{整数指数の累乗の性質}
\end{eqnarray*}となります。さらに、\begin{eqnarray*}
\left( \left( x^{r}\right) ^{-1}\right) ^{n} &=&\left( \frac{1}{x^{r}}\right) ^{n}\quad \because \text{整数指数の累乗の性質} \\
&=&\frac{1}{\left( x^{r}\right) ^{n}}\quad \because \text{整数指数の累乗の性質} \\
&=&\frac{1}{\left( x^{\frac{z}{n}}\right) ^{n}}\quad \because \left(
1\right) \\
&=&\frac{1}{\left( \sqrt[n]{x^{z}}\right) ^{n}} \\
&=&\frac{1}{x^{z}}\quad \because \text{有理数指数の累乗の定義} \\
&=&x^{-z}\quad \because \text{整数指数の累乗の性質}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\left( x^{-r}\right) ^{n}=\left( \left( \frac{1}{x}\right) ^{r}\right)
^{n}=\left( \left( x^{r}\right) ^{-1}\right) ^{n}
\end{equation*}という関係が成り立つことが明らかになりました。\(n\)が自然数であり、\(x^{-r}\)および\(\left( \frac{1}{x}\right) ^{r}\)および\(\left( x^{r}\right) ^{-1}\)はいずれも正の実数であるため、このとき、\begin{equation*}x^{-r}=\left( \frac{1}{x}\right) ^{r}=\left( x^{r}\right) ^{-1}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、\(x\)の\(-r\)乗と\(x\)の逆数の\(r\)乗および\(x\)の\(r\)乗の\(-1\)乗はいずれも一致します。

命題(負の有理数乗の解釈)
正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、\begin{equation*}x^{-r}=\left( \frac{1}{x}\right) ^{r}=\left( x^{r}\right) ^{-1}
\end{equation*}が成り立つ。

 

底を共有する累乗の積

復習になりますが、正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z_{1},z_{2}\in \mathbb{Z} \)が与えられたとき、整数を指数とする累乗に関する指数法則より、\begin{equation*}x^{z_{1}}\cdot x^{z_{1}}=x^{z_{1}+z_{2}}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、同じ底\(x\)を共有する累乗\(x^{z_{1}},x^{z_{2}}\)が与えられたとき、それらの積\(x^{z_{1}}\cdot x^{z_{1}}\)を求めるためには指数どうしの和\(z_{1}+z_{2}\)をとり、それを指数とする累乗\(x^{z_{1}+z_{2}}\)をとればよいということです。指数が有理数である場合の累乗の定義を踏まえると、指数が有理数である場合にも上と同様の命題が成立することが示されます。

命題(底を共有する累乗の積)
正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r_{1},r_{2}\in \mathbb{R} \)が与えられたとき、\begin{equation*}x^{r_{1}}\cdot x^{r_{2}}=x^{r_{1}+r_{2}}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(底を共有する累乗の積)
以下が成り立ちます。\begin{eqnarray*}
2^{-\frac{1}{2}}\cdot 2^{\frac{3}{2}} &=&2^{-\frac{1}{2}+\frac{3}{2}}=2 \\
3^{\frac{1}{4}}\cdot 3^{\frac{3}{4}} &=&3^{\frac{1}{4}+\frac{3}{4}}=3 \\
\left( \frac{2}{3}\right) ^{\frac{1}{2}}\cdot \left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{1}{4}} &=&\left( \frac{2}{3}\right) ^{\frac{1}{2}-\frac{1}{4}}=\left(
\frac{2}{3}\right) ^{\frac{1}{4}}
\end{eqnarray*}

 

底を共有する累乗の商

正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z_{1},z_{2}\in \mathbb{Z} \)が与えられたとき、整数を指数とする累乗に関する指数法則より、\begin{equation*}\frac{x^{z_{1}}}{x^{z_{2}}}=x^{z_{1}-z_{2}}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、同じ底\(x\)を共有する累乗\(x^{z_{1}},x^{z_{2}}\)が与えられたとき、それらの商\(\frac{x^{z_{1}}}{x^{z_{2}}}\)を求めるためには指数どうしの差\(z_{1}-z_{2}\)をとり、それを指数とする累乗\(x^{z_{1}-z_{2}}\)をとればよいということです。指数が有理数である場合の累乗の定義を踏まえると、指数が有理数である場合にも上と同様の命題が成立することが示されます。

命題(底を共有する累乗の商)
正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r_{1},r_{2}\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、\begin{equation*}\frac{x^{r_{1}}}{x^{r_{2}}}=x^{r_{1}-r_{2}}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(底を共有する累乗の商)
以下が成り立ちます。\begin{eqnarray*}
\frac{2^{\frac{1}{2}}}{2^{-\frac{1}{2}}} &=&2^{\frac{1}{2}-\left( \frac{1}{2}\right) }=2 \\
\frac{3^{-\frac{1}{4}}}{2^{-\frac{1}{2}}} &=&3^{\left( -\frac{1}{4}\right)
-\left( -\frac{1}{2}\right) }=3^{\frac{1}{4}} \\
\left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{1}{4}}/\left( \frac{2}{3}\right) ^{\frac{1}{2}} &=&\left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{1}{4}-\frac{1}{2}}=\left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{3}{4}}
\end{eqnarray*}

 

累乗の累乗

正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z_{1},z_{2}\in \mathbb{Z} \)が与えられたとき、指数法則より、\begin{equation*}\left( x^{z_{1}}\right) ^{z_{2}}=x^{z_{1}z_{2}}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、累乗\(x^{z_{1}}\)が与えられたとき、さらにその累乗\(\left( x^{z_{1}}\right) ^{z_{2}}\)を求めるためには指数どうしの積\(z_{1}z_{2}\)をとり、それを指数とする累乗\(x^{z_{1}z_{2}}\)をとればよいということです。指数が有理数である場合の累乗の定義を踏まえると、指数が有理数である場合にも上と同様の命題が成立することが示されます。

命題(累乗の累乗)
正の実数\(x\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r_{1},r_{2}\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、\begin{equation*}\left( x^{r_{1}}\right) ^{r_{2}}=x^{r_{1}r_{2}}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(累乗の累乗)
以下が成り立ちます。\begin{eqnarray*}
\left( 2^{\frac{1}{3}}\right) ^{-\frac{1}{2}} &=&2^{\frac{1}{3}\left( -\frac{1}{2}\right) }=2^{-\frac{1}{6}} \\
\left( 3^{-\frac{1}{2}}\right) ^{\frac{1}{4}} &=&3^{\left( -\frac{1}{2}\right) \frac{1}{4}}=3^{-\frac{1}{8}} \\
\left( \left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{1}{2}}\right) ^{-\frac{1}{4}}
&=&\left( \frac{2}{3}\right) ^{\left( -\frac{1}{2}\right) \left( -\frac{1}{4}\right) }=\left( \frac{2}{3}\right) ^{\frac{1}{8}}
\end{eqnarray*}

 

積の累乗

正の実数\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z\in \mathbb{Z} \)が与えられたとき、指数法則より、\begin{equation*}\left( xy\right) ^{z}=x^{z}y^{z}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、正の実数\(x,y\)が与えられたとき、それらの積の累乗\(\left( xy\right) ^{z}\)を求めるためには、\(x\)の累乗\(x^{z}\)と\(y\)の累乗\(y^{z}\)をそれぞれとり、それらの積をとればよいということです。指数が有理数である場合の累乗の定義を踏まえると、指数が有理数である場合にも上と同様の命題が成立することが示されます。

命題(積の累乗)
正の実数\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、\begin{equation*}\left( xy\right) ^{r}=x^{r}y^{r}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(積の累乗)
以下が成り立ちます。\begin{eqnarray*}
\left( 2\cdot 3\right) ^{-\frac{1}{2}} &=&2^{-\frac{1}{2}}\cdot 3^{-\frac{1}{2}} \\
\left( 3\cdot 2\right) ^{\frac{1}{4}} &=&3^{\frac{1}{4}}\cdot 2^{\frac{1}{4}}
\\
\left( \frac{2}{3}\cdot \frac{2}{5}\right) ^{-\frac{2}{5}} &=&\left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{2}{5}}\cdot \left( \frac{2}{5}\right) ^{-\frac{2}{5}}
\end{eqnarray*}

 

商の累乗

正の実数\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)と整数\(z\in \mathbb{Z} \)が与えられたとき、指数法則より、\begin{equation*}\left( \frac{x}{y}\right) ^{z}=\frac{x^{z}}{y^{z}}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、正の実数\(x,y\)が与えられたとき、それらの商の累乗\(\left( \frac{x}{y}\right)^{z}\)を求めるためには、\(x\)の累乗\(x^{z}\)と\(y\)の累乗\(y^{z}\)をそれぞれとり、それらの商をとればよいということです。指数が有理数である場合の累乗の定義を踏まえると、指数が有理数である場合にも上と同様の命題が成立することが示されます。

命題(商の累乗)
正の実数\(x,y\in \mathbb{R} _{++}\)と有理数\(r\in \mathbb{Q} \)が与えられたとき、\begin{equation*}\left( \frac{x}{y}\right) ^{r}=\frac{x^{r}}{y^{r}}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(積の累乗)
以下が成り立ちます。\begin{eqnarray*}
\left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{1}{2}} &=&\frac{2^{-\frac{1}{2}}}{3^{-\frac{1}{2}}} \\
\left( \frac{3}{2}\right) ^{\frac{1}{4}} &=&\frac{3^{\frac{1}{4}}}{2^{\frac{1}{4}}} \\
\left( \frac{2}{3}/\frac{2}{5}\right) ^{-\frac{2}{5}} &=&\left( \frac{2}{3}\right) ^{-\frac{2}{5}}/\left( \frac{2}{5}\right) ^{-\frac{2}{5}}
\end{eqnarray*}

 

指数法則

得られた結果をまとめておきましょう。指数が有理数である場合の指数法則は以下の通りです。

命題(指数法則)
以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall r\in \mathbb{Q} :x^{-r}=\left( \frac{1}{x}\right) ^{r}=\left( x^{r}\right) ^{-1} \\
&&\left( b\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall r_{1},r_{2}\in \mathbb{Q} :x^{r_{1}}\cdot x^{r_{2}}=x^{r_{1}+r_{2}} \\
&&\left( c\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall r_{1},r_{2}\in \mathbb{Q} :\frac{x^{r_{1}}}{x^{r_{2}}}=x^{r_{1}-r_{2}} \\
&&\left( d\right) \ \forall x\in \mathbb{R} _{++},\ \forall r_{1},r_{2}\in \mathbb{Q} :\left( x^{r_{1}}\right) ^{r_{2}}=x^{r_{1}r_{2}} \\
&&\left( e\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} _{++},\ \forall r\in \mathbb{Q} :\left( xy\right) ^{r}=x^{r}y^{r} \\
&&\left( f\right) \ \forall x,y\in \mathbb{R} _{++},\ \forall r\in \mathbb{Q} :\left( \frac{x}{y}\right) ^{r}=\frac{x^{r}}{y^{r}}
\end{eqnarray*}

次回は指数が実数であるような累乗について解説します。

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