2人のドライバーがお互いに相手の車に向かって一直線に走行し、衝突寸前まで車を走らせる度胸試しをチキンゲームと呼びます。チキンゲームを完備情報の静学ゲームとして定式化した上でナッシュ均衡を求めます。
複占市場においてカルテルを形成せずに競争する企業が商品の供給量を同時に決定する状況をクールノー競争と呼ばれるモデルを用いて記述しましたが、同様の市場において2つの企業が商品の供給量を順番に決定する場合には何が起こるでしょうか。
2つの企業が生産する商品が代替財ないし補完財である状況において行われるベルトラン競争を定式化するとともに、そこでのベルトラン均衡を特定します。
2つの企業が生産する商品が代替財ないし補完財である状況において行われるクールノー競争を定式化するとともに、そこでのクールノー均衡を特定します。
同一企業が複数の商品市場を独占しており、なおかつ商品の生産に範囲の経済や範囲の不経済が成立する場合の利潤最大化問題について解説します。
同一企業が複数の商品市場を独占しており、なおかつ商品どうしが代替財ないし補完財である場合の利潤最大化問題について解説します。
複占市場の線型モデルにおいて2つの企業が結合利潤を最大化するような価格を選択するよう約束した場合においても、その約束に拘束力がない場合には、実際に実現するのは、両社とも価格競争を行うという結果(ベルトラン競争)であり、これは両社にとって効率的ではありません。
複占市場の線型モデルにおいて2つの企業が結合利潤を最大化するような生産計画を実行するよう約束した場合においても、その約束に拘束力がない場合には、実際に実現するのは、両社とも数量競争を行うという結果(クールノー競争)であり、これは両社にとって効率的ではありません。
等しい限界費用を持つ2つの企業がベルトラン競争を行う場合、均衡において両企業の利潤はゼロになります。一方、限界費用に差がある2つの企業がベルトラン競争を行う場合には、均衡において、相対的に効率的な企業は正の利潤を得られます。
クールノー競争が行われる複占市場において企業間の技術水準に差がある場合、すなわち企業間で限界費用に差がある場合にも、両企業の間の技術水準の差が十分小さい場合にはクールノー均衡が存在します
複占市場においてベルトラン競争が行われる場合には完全競争市場と同様に均衡価格が限界費用と一致しますが(ベルトランのパラドクス)、企業の生産力に制約がある場合には、均衡価格が限界費用を上回る事態が起こり得ます。
ベルトラン競争が行われる市場において企業数が1から2へ変化すると均衡価格が限界費用まで急激に下落して死荷重が消失しますが、企業数をそれ以上増やした場合、均衡における各企業の供給量は企業数に逆比例する形で減少していく一方で、均衡価格や死荷重は変化しません。
クールノー競争において企業数が増加するにつれて企業間の競争が激化し、クールノー均衡は完全競争均衡へ限りなく近づいていきます。
通常、独占市場や複占市場、寡占市場などの不完全競争市場において社会的余剰は最大化されません。一方、複占市場においてベルトラン競争が行われる場合には完全競争市場と同様に社会的余剰が最大化されます。こうした現象をベルトランのパラドクスと呼びます。
同質財が2つの企業によって供給される複占市場において、企業がカルテルを形成せずに価格を決定する状況をベルトラン競争モデルとして定式化するとともに、そこでのナッシュ均衡を特定します。
複占市場においてクールノー競争が行われる場合に実現する社会的余剰は、完全競争が行われる場合の社会的余剰よりも小さく、カルテルが形成される場合の社会的余剰よりも大きくなります。
同一企業が複数の商品市場を独占しており、なおかつ商品間で市場と生産それぞれ独立している場合の利潤最大化問題について解説します。
独占均衡では死荷重が発生するため社会的余剰が最大化されません。社会的余剰を最大化するために、独占企業が供給する商品の価格を競争均衡価格へ抑える政策を限界費用価格規制と呼びます。
複占市場においてカルテルを形成する2つの企業は、カルテルの限界収入と両企業の限界費用が一致するような生産計画を選択することにより結合利潤を最大化することができます。
同質財が2つの企業によって供給される複占市場において、企業がカルテルを形成せずに供給量を決定する状況をクールノー競争モデルとして定式化するとともに、そこでのナッシュ均衡を特定します。
2人ゼロ和ゲームにおいて一方のプレイヤーのマックスミニ値と他方のプレイヤーのミニマックス値が一致することは、ゲームに鞍点(ナッシュ均衡)が存在するための必要十分条件です。特に、有限ゲームの混合拡張においてマックスミニ値とミニマックス値は常に一致します。
2人ゼロ和ゲームにおいて、最低でも確保できる利得を最大化する戦略をマックスミニ戦略と呼び、最悪の状況で直面する被害を最小化する戦略をミニマックス戦略と呼びます。
戦略型ゲームのプレイヤーが2人であるとともに、どのような結果が実現した場合にも両者が得る利得の和が必ずゼロであるならば、そのようなゲームをゼロ和ゲーム(ゼロサムゲーム)と呼びます。
主体にとってのクジの確実性等価を測定するためにはBDMメカニズム(Becker-DeGroot-Marschakメカニズム)と呼ばれる実験手法が有効です。BDMメカニズムは耐戦略性を満たすため、主体にとってクジの確実性等価を正直に表明することが支配戦略になります。
ある結果を確実に得ることと、その結果より望ましい結果と望ましくない結果が等確率で起こるクジを無差別にするための確率の調整幅を確率プレミアムと呼びます。確率プレミアムの符号を観察することにより、主体のリスク選好を特定できます。
クジのもとでの結果の期待値と確実同値額の差を、そのクジのリスクプレミアムと呼びます。クジのリスクプレミアムの符号を観察することにより、主体のリスク選好を特定できます。
主体にとってクジLを選択することと結果xを確実に得ることが無差別である場合、xをLの確実性等価と呼びます。クジの確実性等価とクジのもとでの結果の期待値を比較することにより、主体のリスク選好を特定できます。
行動を選択した場合に起こり得る結果が数値として表現できる場合には、クジを選択すれば結果の期待値を計算できます。ただ、人は期待値を最大化するような選択を行うとは限りません。
プレイヤーが自身の選択肢を意図的に狭めることを通じて、約束を破った場合に自身がより不利になる状況を意図的に作り出し、約束に信憑性を持たようとする行動をコミットメントと呼びます。コミットメントは信憑性のない脅しを信憑性のある脅しへ転化させます。
1962年に発生したキューバ危機において人類は核戦争の瀬戸際へ追い込まれました。キューバ危機を展開型ゲームとして定式化するとともに、そこでの結果をゲームの部分ゲーム完全均衡として解釈します。
展開型ゲームが有限な完全情報ゲームである場合には、後ろ向き帰納法(バックワードインダクション)と呼ばれるアルゴリズムを用いて純粋戦略部分ゲーム完全均衡を特定できます。
当局による介入が行われない場合には商品の供給が行われないような市場においても、補助金を通じて独占企業に商品を供給させることにより、社会的余剰を増やすことができる余地があります。
補償変分と等価変分はいずれも価格変化がもたらす消費者厚生の変化を測る指標として十分な根拠がありますが、実際に計測するのは困難です。そこで、多くの場合、より計測しやすい消費者余剰と呼ばれる指標を採用します。
消費者の効用関数は一意的に定まらないため、価格変化がもたらす消費者厚生の変化を測る指標として効用の変化量を採用することはできません。代替的な指標として等価変分と呼ばれる指標を定義します。
消費者の効用関数は一意的に定まらないため、価格変化がもたらす消費者厚生の変化を測る指標として効用の変化量を採用することはできません。代替的な指標として補償変分と呼ばれる指標を定義します。
独占企業が得る超過利潤をレントと呼びます。独占企業の絶対的費用優位性が行政の許認可などに由来する場合、独占企業はレントを維持するためロビー活動や政治献金など市場外で活動を行います。
独占市場が形成される理由は参入障壁に限定されません。参入と退出が自由であり、企業どうしが対等な立場で競争を行う市場においても一定の条件のもとでは独占が形成されます。コンテスタブル・マーケットの理論を用いて自然独占について解説します。
ある市場において既存企業が参入企業よりも常により少ない費用で商品を生産できる場合、既存企業は絶対的費用優位性を持つと言います。独占企業が絶対的費用優位性を持つ場合、それは参入障壁として機能します。
独占市場に新たな企業が参入する際に必要となる初期投資が大きく、なおかつそれがサンク費用になる場合、それは参入障壁として働くため、独占市場が維持されます。
独占市場などの不完全競争市場において、企業が競争圧力にさらされていないことに起因して発生する非効率性をX-非効率性と呼びます。X-非効率性は社会的な厚生の損失をもたらし得ます。
2つの企業が新規市場へ参入するかどうかを決定する戦略的状況を参入ゲームと呼ばれる完備情報の静学ゲームとして記述するとともに、そこでのナッシュ均衡を求めます。加えて、均衡において市場参入のパラドクスと呼ばれる現象が起こること解説します。
不確実性に直面する意思決定主体がクジどうしを比較する選好が連続的に変化することを保証するために、選好関係に対して連続性と呼ばれる性質を要求します。選好関係を表す連続な効用関数や期待効用関数が存在する場合、その選好は連続性を満たします。
不確実性に直面する意思決定主体がクジどうしを比較する選好が循環しないことを保証するために、選好関係に対して推移性と呼ばれる性質を要求します。選好関係を表す効用関数が存在する場合、その選好は推移性を満たします。
2つのクジを任意に選んだとき、意思決定主体が一方を他方以上に好むか、もしくは両者を同じ程度望ましいものと考えている場合には、主体の選好関係は完備性を満たすと言います。
リスクが存在する状況において、意思決定主体がクジどうしを比較する選好を表現する効用関数が線型性と呼ばれる性質を満たす場合、そのような効用関数を期待効用関数と呼びます。通常の効用関数とは異なり、期待効用関数は一定の基数性を満たします。
リスクが存在する状況において、意思決定主体がクジどうしを比較する選好を表現する効用関数が存在する場合には、クジの間の相対的な望ましさを、実数の大小関係として表現することができます。
リスクが存在する状況における意思決定は、その人が持つ不確実性に対する好みの体系によって左右されます。そこで、そのような好みをクジどうしを比較する選好関係として定式化します。
リスクが存在する状況における選択肢をクジと呼ばれる概念として表現しましたが、何らかの確率分布にもとづいてクジをランダムに選ぶことも考えられるため、そのような意思決定を複合クジと呼ばれる概念として表現します。