単調関数のリーマン積分可能性
これまでは有界な閉区間上に定義された有界な関数がリーマン積分可能であることの意味を定義するとともに、関数がリーマン積分可能であること、ないしリーマン積分可能ではないことを具体的に判定する方法について解説してきました。では、リーマン積分可能であることが保証されるような関数は存在するのでしょうか。
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が\(\left[ a,b\right] \)上において単調増加関数であるものとします。つまり、\begin{equation*}\forall x,x^{\prime }\in \left[ a,b\right] :\left[ x<x^{\prime }\Rightarrow
f\left( x\right) \leq f\left( x^{\prime }\right) \right]
\end{equation*}が成り立つということです。このとき、\begin{equation*}
\forall x\in \left[ a,b\right] :f\left( a\right) \leq f\left( x\right) \leq
f\left( b\right)
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で有界であることが保証されます。したがって、\(f\)がリーマン積分可能であるか検討できますが、以上の条件を満たす関数\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能であることが保証されます。有界閉区間上に定義された単調増加関数はリーマン積分可能であるということです。
\end{equation*}で表されるものとします。つまり、\(f\)は定数関数です。この関数\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で単調増加であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ a,b\right]\)上でリーマン積分可能です。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は\(\left[ a,b\right]\)上で単調増加であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能です。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は\(\left[ 0,1\right]\)上で単調増加であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ 0,1\right] \)上でリーマン積分可能です。
f\left( x\right) <f\left( x^{\prime }\right) \right] \end{equation*}が成り立つということです。狭義単調増加関数は単調増加関数であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能です。
単調減少関数についても同様の命題が成り立ちます。具体的には以下の通りです。
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\begin{equation*}f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が\(\left[ a,b\right] \)上において単調減少関数であるものとします。つまり、\begin{equation*}\forall x,x^{\prime }\in \left[ a,b\right] :\left[ x<x^{\prime }\Rightarrow
f\left( x\right) \geq f\left( x^{\prime }\right) \right]
\end{equation*}が成り立つということです。このとき、\begin{equation*}
\forall x\in \left[ a,b\right] :f\left( a\right) \geq f\left( x\right) \geq
f\left( b\right)
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で有界であることが保証されます。したがって、\(f\)がリーマン積分可能であるか検討できますが、以上の条件を満たす関数\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能であることが保証されます。有界閉区間上に定義された単調減少関数はリーマン積分可能であるということです。
\end{equation*}で表されるものとします。つまり、\(f\)は定数関数です。この関数\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で単調減少であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ a,b\right]\)上でリーマン積分可能です。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は\(\left[ a,b\right]\)上で単調減少であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能です。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は\(\left[ -1,0\right] \)上で単調減少であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ -1,0\right] \)上でリーマン積分可能です。
f\left( x\right) >f\left( x^{\prime }\right) \right] \end{equation*}が成り立つということです。狭義単調減少関数は単調減少関数であるため、先の命題より、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能です。
単調増加関数と単調減少関数を総称して単調関数と呼びます。先の2つの命題より、有界閉区間上に定義された単調関数はリーマン積分可能であることが保証されます。
リーマン積分可能な関数は単調関数であるとは限らない
先の命題はリーマン積分可能であるための十分条件であり、必要条件ではありません。つまり、有界閉区間上に定義された単調ではない関数がリーマン積分可能であるような状況は起こり得ます。以下の例より明らかです。
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上において単調ではありません。実際、\(\left[ -1,0\right] \)上において狭義単調減少である一方、\(\left[ 0,1\right] \)上において狭義単調増加だからです。後ほど示すように、有界閉区間上に定義された連続関数はリーマン積分可能ですが、この関数\(f\)は\(\left[ -1,1\right] \)上で連続であるためリーマン積分可能です。
単調関数の上積分および下積分可能性
有界閉区間上に定義された有界な関数がリーマン積分可能であることは、その関数が上リーマン積分可能かつ下リーマン積分可能であるとともに上リーマン積分と下リーマン積分が一致することと必要十分です。以上の事実と先の命題を踏まえると以下を得ます。
x\right) dx
\end{equation*}という関係が成り立つ。
演習問題
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能であることを示してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能であることを示してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上でリーマン積分可能であることを示してください。
プレミアム会員専用コンテンツです
【ログイン】【会員登録】