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PRODUCER THEORY

生産集合の凸性

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凸性を満たす生産集合

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)が凸集合である場合には、すなわち、\begin{equation*}\forall y,y^{\prime }\in Y,\ \forall \alpha \in \left[ 0,1\right] :\alpha
y+\left( 1-\alpha \right) y^{\prime }\in Y
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(Y\)は凸性(convexity)を満たすと言います。これは、技術的に選択可能な2つの生産ベクトル\(y,y^{\prime }\)を任意に選んだとき、それらを任意の割合で組み合わせて得られる生産ベクトル\(\alpha y+\left( 1-\alpha \right)y^{\prime }\)もまた技術的に生産可能であることを意味します。

例(凸な生産集合)
3種類の商品が存在する状況において、技術的に選択可能な以下の2つの生産ベクトル\begin{eqnarray*}
y &=&\left( 10,-2,-20\right) \\
y^{\prime } &=&\left( 10,-20,-2\right)
\end{eqnarray*}について考えます。つまり、\(y\)と\(y^{\prime }\)のいずれにおいても\(10\)単位の商品\(1\)が生産されていますが、\(y\)では\(2\)単位の商品\(2\)と\(20\)単位の商品\(3\)を投入している一方で、\(y^{\prime }\)では\(20\)単位の商品\(2\)と\(2\)単位の商品\(3\)を投入しています。生産集合が凸性を満たす場合には、例えば、\begin{eqnarray*}\frac{1}{2}y+\frac{1}{2}y^{\prime } &=&\frac{1}{2}\left( 10,-2,-20\right) +\frac{1}{2}\left( 10,-20,-2\right) \\
&=&\left( 5,-1,-10\right) +\left( 5,-10,-1\right) \\
&=&\left( 10,-11,-11\right)
\end{eqnarray*}もまた技術的に選択可能ですが、ここでは\(10\)単位の商品\(1\)が生産するために商品\(2\)と商品\(3\)を\(11\)単位ずつ投入しており、\(y\)や\(y^{\prime }\)よりも生産要素を適度な割合で投入しています。つまり、凸な技術のもとでは、生産要素の投入バランスの偏りを修正しても生産物の産出量が減少しないことが保証されます。
例(凸な生産集合)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)が凸性に加えて操業停止可能性を満たすものとします。生産ベクトル\(y\in Y\)および\(\alpha \in \left[ 0,1\right] \)をそれぞれ任意に選びます。操業停止可能性より\(0\in Y\)です。すると凸性より、\begin{equation*}\alpha y+\left( 1-\alpha \right) 0\in Y
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\alpha y\in Y
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、技術的に選択可能な生産ベクトル\(y\)が任意に与えられたとき、凸性と操業停止可能性のもとでは、\(y\)における生産量と投入量を同じ割合で縮小して得られる任意の生産ベクトルもまた技術的に選択可能であることが保証されます。こうした状況を2種類の商品が存在する経済における生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{2}\)として図示したものが以下の図です。
図:凸性
図:凸性

 

狭義凸性を満たす生産集合

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)が狭義凸集合である場合には、すなわち、\begin{equation*}\forall y\in Y,\ \forall y^{\prime }\in Y\backslash \left\{ y\right\}
:\forall \alpha \in \left( 0,1\right) :\alpha y+\left( 1-\alpha \right)
y^{\prime }\in Y^{i}
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(Y\)は狭義凸性(convexity)を満たすと言います。ただし、\(Y^{i}\)は\(Y\)の内部です。これは、技術的に選択可能な2つの異なる生産ベクトル\(y,y^{\prime }\)を任意に選んだとき、それらを任意の割合で組み合わせて得られる生産ベクトル\(\alpha y+\left( 1-\alpha \right) y^{\prime }\)もまた技術的に選択可能であるとともに、それが生産集合の内点であることが保証されることを意味します。

例(狭義凸な生産集合)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)が閉集合であるとともに無償廃棄可能性を満たす場合、効率生産集合\(Y^{\ast }\)と変換フロンティア\(Y^{f}\)の間には、\begin{equation*}Y^{f}=Y^{\ast }\subset Y
\end{equation*}という関係が成り立ちます。\(Y\)はその内部\(Y^{i}\)と境界\(Y^{f}\)とに分割されるため、以上の仮定に加えて狭義凸性を認める場合には、\begin{equation*}\forall y\in Y^{\ast },\ \forall y^{\prime }\in Y^{\ast }\backslash \left\{
y\right\} :\forall \alpha \in \left( 0,1\right) :\alpha y+\left( 1-\alpha
\right) y^{\prime }\in Y\backslash Y^{\ast }
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、効率的な2つの異なる生産ベクトル\(y,y^{\prime }\)を任意に選んだとき、それらを任意の割合で組み合わせて得られる生産ベクトル\(\alpha y+\left( 1-\alpha \right) y^{\prime }\)はもはや効率的ではないということです。

 

準凸な変換関数

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)に加えて変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているとき、\(F\)が準凸関数(quasi-convex function)であるとは、\begin{equation*}\forall y,y^{\prime }\in \mathbb{R} ^{N},\ \forall \alpha \in \left[ 0,1\right] :F\left( \alpha y+\left(
1-\alpha \right) y^{\prime }\right) \leq \max \left\{ F\left( y\right)
,F\left( y^{\prime }\right) \right\}
\end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、任意の2つの生産ベクトル\(y,y^{\prime }\)について、それらを任意の割合\(\alpha \)で混ぜて得られる生産ベクトルに対して\(F\)が定める値が、\(y\)や\(y^{\prime }\)に対して\(F\)が定める値を上回らないということです。

変換関数が準凸であることは以下のように表現することもできます。多くの場合、準凸関数であることを判定する際には以下を利用したほうが容易です。

命題(準凸な変換関数)

変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、任意の\(c\in \mathbb{R} \)に対する下方位集合\begin{equation*}L\left( c\right) =\left\{ y\in \mathbb{R} ^{N}\ |\ F\left( y\right) \leq c\right\}
\end{equation*}が凸集合であることは、\(F\)が準凸関数であるための必要十分条件である。

証明

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生産集合の凸性と変換関数の準凸性の間には以下の関係が成立します。

命題(生産集合の凸性と変換関数の準凸性の関係)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)と変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\(F\)が準凸関数であるならば\(Y\)が凸集合である。
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狭義準凸な変換関数

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)に加えて変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているとき、\(F\)が狭義準凸関数(strictly quasi-convex function)であるとは、\begin{equation*}\forall y\in \mathbb{R} ^{N},\ \forall y^{\prime }\in \mathbb{R} ^{N}\backslash \left\{ y\right\} ,\ \forall \alpha \in \left( 0,1\right)
:F\left( \alpha y+\left( 1-\alpha \right) y^{\prime }\right) <\max \left\{
F\left( y\right) ,F\left( y^{\prime }\right) \right\}
\end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、任意の2つの異なる生産ベクトル\(y,y^{\prime }\)について、それらを任意の割合\(\alpha \)で混ぜて得られる生産ベクトルに対して\(F\)が定める値が、\(y\)や\(y^{\prime }\)に対して\(F\)が定める値を上回るということです。

変換関数が狭義準凸であることは以下のように表現することもできます。多くの場合、狭義準凸関数であることを判定する際には以下を利用したほうが容易です。

命題(狭義準凸な変換関数)
変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、任意の\(c\in \mathbb{R} \)に対する下方位集合\begin{equation*}L\left( c\right) =\left\{ y\in \mathbb{R} ^{N}\ |\ F\left( y\right) \leq c\right\}
\end{equation*}が狭義凸集合であることは、\(F\)が狭義準凸関数であるための必要十分条件である。
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生産集合の狭義凸性と変換関数の狭義準凸性の間には以下の関係が成立します。

命題(生産集合の狭義凸性と変換関数の狭義準凸性の関係)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)と変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\(F\)が狭義準凸関数であるならば\(Y\)が狭義凸集合である。
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凹な生産関数

経済に存在する商品が\(N\)種類の生産要素と\(1\)種類の生産物に区別可能である場合、生産集合\(Y\subset \mathbb{R} _{+}^{N+1}\)に加えて生産関数\(f:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が与えられているとき、\(f\)が凹関数であることとは、\begin{equation*}\forall x,x^{\prime }\in \mathbb{R} _{+}^{N},\ \forall \alpha \in \left[ 0,1\right] :\alpha f\left( x\right)
+\left( 1-\alpha \right) f\left( x^{\prime }\right) \leq f\left( \alpha
x+\left( 1-\alpha \right) x^{\prime }\right)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、任意の2つの投入ベクトル\(x,x^{\prime }\)について、それらを任意の割合\(\alpha \)で混ぜて得られる投入ベクトルのもとでの生産物の産出量が、\(x\)からの産出量と\(x^{\prime }\)からの産出量を割合\(\alpha \)で混ぜて得られる量以上になるということです。

生産集合の凸性と生産関数の凹性の間には以下の関係が成立します。

命題(生産集合の凸性と生産関数の凹性の関係)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} _{+}^{N+1}\)と生産関数\(f:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が与えられたとき、\(f\)が凹関数であることは\(Y\)が凸集合であるための必要十分条件である。
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狭義凹な生産関数

経済に存在する商品が\(N\)種類の生産要素と\(1\)種類の生産物に区別可能である場合、生産集合\(Y\subset \mathbb{R} _{+}^{N+1}\)に加えて生産関数\(f:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が与えられているとき、\(f\)が狭義凹関数であることとは、\begin{equation*}\forall x\in \mathbb{R} _{+}^{N},\ \forall x^{\prime }\in \mathbb{R} _{+}^{N}\backslash \left\{ x\right\} \ \forall \alpha \in \left( 0,1\right)
:\alpha f\left( x\right) +\left( 1-\alpha \right) f\left( x^{\prime }\right)
<f\left( \alpha x+\left( 1-\alpha \right) x^{\prime }\right)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。つまり、任意の異なる2つの投入ベクトル\(x,x^{\prime }\)について、それらを任意の割合\(\alpha \)で混ぜて得られる投入ベクトルのもとでの生産物の産出量が、\(x\)からの産出量と\(x^{\prime }\)からの産出量を割合\(\alpha \)で混ぜて得られる量を上回るということです。

生産集合の狭義凸性と生産関数の狭義凹性の間には以下の関係が成立します。

命題(生産集合の狭義凸性と生産関数の狭義凹性の関係)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} _{+}^{N+1}\)と生産関数\(f:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が与えられたとき、\(f\)が狭義凹関数であることは\(Y\)が狭義凸集合であるための必要十分条件である。
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次回は中立性と呼ばれる仮定について解説します。

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