WIIS

生産者理論

生産集合の連続性

目次

前のページ:

生産集合の非空性

Twitter
Mailで保存

生産集合の連続性

生産者の技術が生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)として表現されているものとします。\(Y\)はユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{N}\)の部分集合であるため、そこには位相が設定されています。そこで、生産集合\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合である場合、\(Y\)は連続性(continuity)を満たすと言います。

閉集合は様々な形で定義できますが、ここでは点列を用いた定義を採用した上で、生産集合\(Y\)が連続性を満たすことの意味を確認します。生産集合\(Y\)の点を項とする収束点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)を任意に選びます。つまり、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :y_{v}\in Y \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}\in \mathbb{R} ^{N}
\end{eqnarray*}をともに満たす点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)を任意に選ぶということです。一般にこのような収束点列の極限は\(Y\)の点であるとは限りませんが、仮にこのような収束点列の極限が\(Y\)の点であることが保証されるならば、すなわち、\begin{equation*}\left( c\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}\in Y
\end{equation*}が成り立つならば、\(Y\)は\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合であると言います。

連続性の意味を深く理解するために、生産集合\(Y\)が連続性を満たさない場合には、すなわち\(Y\)が閉集合でない場合にはどのようなことが起こり得るか考えます。このとき、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :y_{v}\in Y \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}\in \mathbb{R} ^{N}
\end{eqnarray*}をともに満たす一方で、\begin{equation*}
\left( c\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}\in Y
\end{equation*}を満たさない点列\(\left\{y_{v}\right\} \)が存在するはずです。点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)が\(\left( a\right) \)を満たすということは、\(\left\{ y_{v}\right\} \)のすべての項が技術的に選択可能な生産ベクトルであることを意味します。\(\left( b\right) \)より点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)は収束するため、その極限\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }y_{v}\)に相当する生産ベクトルのいくらでも近い所に\(\{y_{v}\}\)の点が無数に存在します。つまり、生産ベクトル\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }y_{v}\)のいくらでも近い所に技術的に選択可能な生産ベクトルが無数に存在するということです。一方、条件\(\left( c\right) \)が成り立たないことは、生産ベクトル\(\lim\limits_{v\rightarrow \infty }y_{v}\)は技術的に選択可能ではないことを意味します。結論をまとめると、生産集合が閉集合ではない場合には、技術的に選択可能ではない生産ベクトルのいくらでも近い所に技術的に選択可能な生産ベクトルが無数に存在するという事態が起こり得ます。生産ベクトルが閉集合であるという仮定のもとでは、そのような事態が起こる可能性が排除されます。

例(生産集合の連続性)
2種類の商品が存在する経済における生産集合が、\begin{equation*}
Y=\left\{ \left( y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ y_{2}\leq -y_{1}\right\}
\end{equation*}で与えられているものとします(下図)。

図:連続な生産集合
図:連続な生産集合

この生産集合\(Y\)が連続性を満たすこと、すなわち\(\mathbb{R} ^{2}\)上の閉集合であることを点列を用いて証明します。\(Y\)の点を項とする収束点列を任意に選びます。つまり、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :\left( y_{v}^{\left( 1\right) },y_{v}^{\left( 2\right) }\right) \in Y \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }\left( y_{v}^{\left( 1\right)
},y_{v}^{\left( 2\right) }\right) \in \mathbb{R} ^{2}
\end{eqnarray*}をともに満たす点列\(\left( y_{v}^{\left( 1\right) },y_{v}^{\left( 2\right) }\right) \)を任意に選ぶということです。\(Y\)の定義より\(\left( a\right) \)は、\begin{equation*}\forall v\in \mathbb{N} :y_{v}^{\left( 2\right) }\leq -y_{v}^{\left( 1\right) }
\end{equation*}と必要十分であるため、これと\(\left( b\right) \)および収束する数列の性質より、\begin{equation*}\lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}^{\left( 2\right) }\leq \lim_{v\rightarrow
\infty }\left( -y_{v}^{\left( 1\right) }\right)
\end{equation*}が成り立ちます。これと\(\left( b\right) \)および\(Y\)の定義より、\begin{equation*}\left( \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}^{\left( 1\right)
},\lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}^{\left( 2\right) }\right) \in Y
\end{equation*}が成り立つため、\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{2}\)上の閉集合であること、したがって連続性を満たすことが明らかになりました。

 

変換フロンティアを用いた連続性の定義

閉集合は境界を用いて表現することもできます。生産ベクトル\(a\in Y\)を任意に選んだとき、点\(a\)を中心とする近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)とは点\(a\)からの距離が\(\varepsilon >0\)よりも近い場所にある\(Y\)の点からなる集合であり、具体的には、\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ y\in Y\ |\ d\left( y,a\right)
<\varepsilon \right\}
\end{equation*}と定義されます。ただし、\(d:Y\times Y\rightarrow \mathbb{R} \)はユークリッド距離関数であり、点\(y,a\in Y\)に対して、\begin{equation*}d\left( y,a\right) =\sqrt{\sum_{i=1}^{N}\left( y_{i}-a_{i}\right) ^{2}}
\end{equation*}と定義されます。さて、生産ベクトル\(y\in \mathbb{R} ^{N}\)が生産集合\(Y\)の境界点であることとは、\(y\)を中心とする任意の近傍が\(Y\)とその補集合\(Y^{c}\)の双方と交わること、すなわち、\begin{equation*}\forall \varepsilon >0:\left[ N_{\varepsilon }\left( y\right) \cap
Y\not=\phi \wedge N_{\varepsilon }\left( y\right) \cap Y^{c}\not=\phi \right] \end{equation*}が成り立つことを意味します。さらに、\(Y\)のすべての境界点からなる集合を\(Y\)の境界と呼び、これを、\begin{equation*}Y^{f}
\end{equation*}で表記します。特に、生産集合\(Y\)の境界\(Y^{f}\)を変換フロンティアと呼びます。以上を踏まえたとき、生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)の境界\(Y^{f}\)が\(Y\)の部分集合であることは、すなわち、\begin{equation*}Y^{f}\subset Y
\end{equation*}が成り立つことは、\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合であるための必要十分条件です。

例(生産集合の連続性)
2種類の商品が存在する経済における生産集合が、\begin{equation*}
Y=\left\{ \left( y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ y_{2}\leq -y_{1}\right\}
\end{equation*}で与えられているものとします(下図)。

図:連続な生産集合
図:連続な生産集合

先に点列を用いて示したように、この生産集合\(Y\)は\(\mathbb{R} ^{2}\)上の閉集合です。\(Y\)の境界、すなわち変換フロンティアは、\begin{equation*}Y^{f}=\left\{ \left( y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ y_{2}=-y_{1}\right\}
\end{equation*}であるため\(Y^{f}\subset Y\)が明らかに成立します。したがって\(Y\)は\(\mathbb{R} ^{2}\)上の閉集合ですが、これは先の結果と整合的です。

 

連続性の仮定と効率生産集合の関係

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)とその境界である生産フロンティア\(Y^{f}\)および狭義効率生産集合\(Y^{\ast }\)の間には、\begin{equation*}Y^{\ast }\subset Y\cap Y^{f}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。したがって、効率的な生産ベクトルは生産集合の境界点であることが保証されます。ただ、\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合でない場合、\(Y\)の境界点は\(Y\)に含まれるとは限りません。仮に\(Y\)のすべての境界点が\(Y\)の要素でない場合には、\begin{equation*}Y\cap Y^{f}=\phi
\end{equation*}となりますが、すると上の関係より、\begin{equation*}
Y^{\ast }=\phi
\end{equation*}となり、効率的な生産ベクトルが存在しないことになってしまいます。一方、生産集合\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合である場合には、閉集合の定義より、\begin{equation*}Y^{f}\subset Y
\end{equation*}が成り立つため以下を得ます。

命題(連続性の仮定と効率生産集合の関係)
生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)が連続性を満たす場合には、すなわち\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合である場合には、\begin{equation*}Y^{\ast }\subset Y^{f}\subset Y
\end{equation*}が成り立つ。ただし、\(Y^{\ast }\)は狭義効率生産集合であり、\(Y^{f}\)は変換フロンティアである。

効率的な生産ベクトルは生産集合の境界点である一方、その逆は成立するとは限りません。つまり、生産集合の境界点、すなわち変換フロンティア上の点は効率的であるとは限らないということです。以下の例より明らかです。

例(効率的ではない生産集合の境界点)
2種類の商品が存在する経済における生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{2}\)が下図のグレーの領域として描かれているものとします。境界\(Y^{f}\)が変換フロンティアですが、これは\(Y\)の部分集合であるため\(Y\)は連続性を満たします。

図:効率的ではない境界点
図:効率的ではない境界点

変換フロンティア上の生産ベクトル\(y,y^{\prime }\in Y^{f}\)を上図のように選びます。\(y\)は\(y^{\prime }\)を広義支配するため\(y^{\prime }\)は狭義効率的ではなく、したがって\(y^{\prime }\not\in Y^{\ast }\)です。

 

変換関数の連続性

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)が与えられたとき、変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)は任意の\(y\in \mathbb{R} ^{N}\)に対して、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ y\in Y\Leftrightarrow F\left( y\right) \leq 0 \\
&&\left( b\right) \ y\in Y^{f}\Leftrightarrow F\left( y\right) =0
\end{eqnarray*}を満たすものとして定義されます。生産集合\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合であることと、\(Y\)の境界\(Y^{f}\)が\(Y\)の部分集合であることは必要十分です。逆に、\(Y\)が閉集合でない場合、\(Y\)の要素ではない\(Y\)の境界点\(y\in Y^{f}\)が存在することになります。\(y\not\in Y\)および\(\left( a\right) \)より\(F\left( y\right) >0\)である一方、\(y\in Y^{f}\)および\(\left( b\right) \)より\(F\left( y\right) =0\)であるため矛盾です。したがって変換関数\(F\)の定義が意味をなさなくなってしまいます。一方、生産集合\(Y\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の閉集合である場合には\(Y^{f}\subset Y\)となることが保証されるため、変換関数\(F\)が\(\mathbb{R} ^{N}\)上の任意の点において定義されます。

例(閉集合ではない生産集合)
2種類の商品が存在する経済における生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{2}\)が下図のグレーの領域として、変換フロンティア\(Y^{f}\)がその境界として描かれています。境界が点線で描かれていますが、これは\(Y^{f}\)が\(Y\)に含まれないことを意味します。したがって\(Y\)は閉集合ではありません。境界点\(\left( y_{1},y_{2}\right) \in Y^{f}\)を任意に選んだとき、\(F\)の定義より\(F\left( y_{1},y_{2}\right) =0\)です。一方、\(Y^{f}\)の点は\(Y\)の点ではないため\(\left( y_{1},y_{2}\right) \not\in Y\)であり、すると\(F\)の定義より\(F\left(y_{1},y_{2}\right) >0\)であり矛盾です。これでは変換関数\(F\)が上手く定義できません。

図:閉集合ではない生産集合
図:閉集合ではない生産集合

変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、逆に生産集合\(Y\)は、\begin{equation*}Y=\left\{ y\in \mathbb{R} ^{N}\ |\ F\left( y\right) \leq 0\right\}
\end{equation*}と定義されますが、変換関数\(F\)が連続関数である場合、生産集合\(Y\)が閉集合であること、すなわち連続性を満たすことが保証されます。

命題(連続な変換関数)

生産集合\(Y\subset \mathbb{R} ^{N}\)および変換関数\(F:\mathbb{R} ^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\(F\)が連続関数であるならば\(Y\)は連続性を満たす。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(連続な変換関数)
2種類の商品が存在する経済における変換関数\(F:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)が、それぞれの\(\left(y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}F\left( y_{1},y_{2}\right) =y_{2}+y_{1}
\end{equation*}を定めるものとして定義されています。\(F\)は連続関数であるため、上の命題より生産集合\(Y\)は連続性を満たします。

上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、生産集合\(Y\)が連続性を満たす場合、変換関数\(F\)は\(\mathbb{R} ^{N}\)上の任意の点において連続であるとは限りません。以下の例より明らかです。

例(連続ではない変換関数)
2種類の商品が存在する経済における変換関数\(F:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)が、それぞれの\(\left(y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}F\left( y_{1},y_{2}\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
y_{2}-\left\vert y_{1}\right\vert ^{\frac{1}{2}} & \left( if\ \left(
y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} _{-}\times \mathbb{R} \right) \\
1 & \left( if\ \left( y_{1},y_{2}\right) \not\in \mathbb{R} _{-}\times \mathbb{R} \right)\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとして定義されています。生産集合\(Y\)は、\begin{equation*}Y=\left\{ \left( y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} _{-}\times \mathbb{R} \ |\ y_{2}\leq \left\vert y_{1}\right\vert ^{\frac{1}{2}}\right\}
\end{equation*}であり、これは\(\mathbb{R} ^{2}\)上の閉集合であるため\(Y\)は連続性を満たします。一方、変換関数\(F\)は点\(\left( 0,0\right) \)において連続ではありません。

 

演習問題

問題(生産集合の連続性)
2種類の商品が存在する経済における生産集合が、\begin{equation*}
Y=\left\{ \left( y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} _{-}\times \mathbb{R} \ |\ y_{2}\leq \left\vert y_{1}\right\vert ^{\frac{1}{2}}\right\}
\end{equation*}と定義されています。\(Y\)が連続性を満たすことを点列を用いて証明してください。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(生産集合の連続性)
3種類の商品が存在する経済における生産集合が、\begin{equation*}
Y=\left\{ \left( y_{1},y_{2},y_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ y_{1}\leq 0\wedge y_{2}\leq 0\wedge y_{3}\leq \left\vert
y_{1}\right\vert ^{\frac{1}{2}}\left\vert y_{2}\right\vert ^{\frac{1}{2}}\right\}
\end{equation*}と定義されています。\(Y\)が連続性を満たすことを証明してください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

前のページ:

生産集合の非空性

Twitter
Mailで保存

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

生産集合

現実の生産者は様々な制約に直面しているため、商品空間に属するすべての生産計画を選択できるわけではありません。そこで、生産者が選択可能な生産計画からなる商品空間の部分集合を生産集合と呼びます。

効率生産集合

生産者が技術的に選択可能な2つの生産ベクトルが与えられたとき、一方が他方よりも、より少ない投入でより多くを生産できるのであれば、それは効率的であると言えます。

変換関数

生産集合は生産者が技術的に選択可能なすべての生産ベクトルからなる集合であるため、生産者の技術は生産集合の形状として表現されます。一方、生産者の技術を変換関数と呼ばれる関数を用いて表現することもできます。

限界変形率

変換フロンティア上の生産ベクトルを出発点として、商品iの純産出量を1単位変化させてもなお、変換フロンティア上に留まるために変化させる必要のある商品jの純産出量を、その生産ベクトルにおける商品iの商品jで測った限界変形率と呼びます。

生産集合の非空性

生産者は生産集合に属する生産ベクトルを選ぶため、仮に生産集合が空集合であるならば、生産者がどのような選択を行うかという問題を検討する余地がなくなってしまいます。

生産集合の操業停止可能性

生産集合がゼロベクトルを要素として持つ場合、生産集合は商業停止可能性を満たすと言います。これは、生産者が投入や産出を一切行わないことが可能であることを意味します。

生産集合の凸性

生産者理論では生産集合が凸集合であることを仮定することがあります。これは変換関数が準凸関数であることを意味します。

生産集合の中立性

何らかの生産物の純産出量を増やそうとする行為が技術的に不可能であるような局面が必ず到来する場合、生産集合は中立性を満たすと言います。

1生産物モデルにおける生産集合

分析対象となる生産者にとって生産要素と生産物を事前に区別できる場合には、1生産物モデルと呼ばれるモデルを利用します。1生産物モデルにおける生産者の技術を生産集合として定式化します。

1生産物モデルにおける効率生産集合

1生産物モデルにおいて生産者が技術的に選択可能な2つの生産ベクトルが与えられたとき、一方が他方よりも、より少ない投入でより多くを生産できるのであれば、それは効率的であると言えます。

生産関数

1生産物モデルにおいて生産者の技術を生産集合と呼ばれる概念を用いて表現しましたが、生産者の技術を生産関数と呼ばれる関数を用いて表現することもできます。

1生産物モデルにおける生産集合の非空性

1生産物モデルにおいて生産者は生産集合に属する生産ベクトルを選ぶため、仮に生産集合が空集合であるならば、生産者がどのような選択を行うかという問題を検討する余地がなくなってしまいます。

生産者理論