教材一覧
教材検索
CONSUMER THEORY

レオンチェフ型効用関数のもとでの支出最小化

目次

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

レオンチェフ効用関数のもとでの支出最小化問題

消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)がレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)によって表現されているものとします。つまり、\(u\)がそれぞれの消費ベクトル\(x\in \mathbb{R} _{+}^{N}\)に対して定める効用が、\begin{equation*}u\left( x\right) =\min \left\{ \alpha _{1}x_{1},\cdots ,\alpha
_{N}x_{N}\right\}
\end{equation*}であるということです。ただし、\(\alpha _{1},\cdots ,\alpha_{N}>0\)です。

レオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)は単調増加な連続関数であるとともに、\begin{equation*}u\left( 0\right) =\min \left\{ 0,\cdots ,0\right\} =0
\end{equation*}であることを踏まえると、\(u\)の値域は、\begin{equation*}u\left( \mathbb{R} _{+}^{N}\right) =\mathbb{R} _{+}
\end{equation*}となります。価格ベクトルと目標効用水準の組\(\left( p,v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times \mathbb{R} _{+}\)のもとでの支出最小化問題は、
$$\begin{array}{cl}\min\limits_{\left( x_{1},\cdots ,x_{N}\right) } & p\cdot x \\
s.t. & \min \left\{ \alpha _{1}x_{1},\cdots ,\alpha _{N}x_{N}\right\} \geq v \\
& x_{1}\geq 0 \\
& \vdots \\
& x_{N}\geq 0\end{array}$$
と定式化されます。レオンチェフ型効用関数\(u\)は連続であるため、上の支出最小化問題には解が存在することが保証されます。

 

レオンチェフ型効用関数のもとでの補償需要関数

価格ベクトルと目標効用水準の組\(\left( p,v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times \mathbb{R} _{+}\)が与えられたとき、目標効用水準が\(v=0\)である場合、ゼロベクトル\(0\in \mathbb{R} _{+}^{N}\)が支出最小化問題の解になります。そこで以降では\(v>0\)の場合について考えます。レオンチェフ型効用関数\(u\)は消費集合の内点\(x\in \mathbb{R} _{++}^{N}\)において\(u\left( x\right) >0\)を満たす一方、境界点\(x\in \mathbb{R} _{+}^{N}\backslash \mathbb{R} _{++}^{N}\)において\(u\left( x\right) =0\)を満たします。したがって、消費集合の境界点は\(v>0\)を満たす\(\left(p,v\right) \)のもとでの支出最小化問題の解になり得ないため、比較対象となる消費ベクトルを消費集合の内部\(\mathbb{R} _{++}^{N}\)の点に制限しても一般性は失われません。言い換えると、\(v>0\)を満たす\(\left( p,v\right) \)を前提としたとき、レオンチェフ型効用関数のもとでの支出最小化問題の解は内点解であることが保証されます。加えて、レオンチェフ型効用関数は連続であるため支出最小化問題の解において消費者は目標水準と等しい効用を得ます。以上を踏まえると、\(\left( p,v\right) \)のもとでの支出最小化問題を、
$$\begin{array}{cl}\min\limits_{\left( x_{1},\cdots ,x_{N}\right) } & p\cdot x \\
s.t. & \min \left\{ \alpha _{1}x_{1},\cdots ,\alpha _{N}x_{N}\right\} =v
\\
& x_{1}>0 \\
& \vdots \\
& x_{N}>0
\end{array}$$
と表現しても一般性は失われません。この問題を解くことにより以下が得られます。

命題(レオンチェフ型効用関数のもとでの補償需要関数)
消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)がレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)として表される場合には、補償需要関数\(h^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{N}\times \mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} _{+}^{N}\)が存在し、これはそれぞれの\(\left( p,v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times \mathbb{R} _{++}\)と\(n\in \left\{ 1,\cdots ,N\right\} \)に対して、\begin{equation*}h_{n}^{\ast }\left( p,v\right) =\frac{v}{\alpha _{n}}
\end{equation*}を定める。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(レオンチェフ型効用関数のもとでの補償需要関数)
2財モデルにおけるレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x_{1},x_{2}\right)\in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}u\left( x_{1},x_{2}\right) =\min \left\{ \alpha _{1}x_{1},\alpha
_{2}x_{2}\right\}
\end{equation*}を定めます。ただし、\(\alpha _{1},\alpha _{2}>0\)です。上の命題より、商品\(n\ \left(=1,2\right) \)の補償需要関数\(h_{n}^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{2}\times \mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)はそれぞれの\(\left(p_{1},p_{2},v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{2}\times \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}h_{n}^{\ast }\left( p_{1},p_{2},v\right) =\frac{v}{\alpha _{n}}
\end{equation*}を定めます。

例(レオンチェフ型効用関数のもとでの補償需要関数)
3財モデルにおけるレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{3}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left(x_{1},x_{2},x_{3}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}u\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\min \left\{ \alpha _{1}x_{1},,\alpha
_{2}x_{2},\alpha _{3}x_{3}\right\}
\end{equation*}を定めます。ただし、\(\alpha _{1},\alpha _{2},\alpha _{3}>0\)です。上の命題より、商品\(n\ \left( =1,2,3\right) \)の補償需要関数\(h_{n}^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{3}\times \mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)はそれぞれの\(\left(p_{1},p_{2},p_{3},v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{3}\times \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}h_{n}^{\ast }\left( p_{1},p_{2},p_{3},v\right) =\frac{v}{\alpha _{n}}
\end{equation*}を定めます。

 

レオンチェフ型効用関数のもとでの支出関数

消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)がレオンチェフ型効用関数として表される場合には補償関数が存在することが明らかになりました。したがって、補償需要関数を支出を表す式\(p\cdot x\)に代入することにより支出関数が得られます。

命題(レオンチェフ型効用関数のもとでの支出関数)
消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)がレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{N}\rightarrow \mathbb{R} \)として表される場合には、支出関数\(e:\mathbb{R} _{++}^{N}\times \mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が存在し、これはそれぞれの\(\left( p,v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}e\left( p,v\right) =v\sum_{n=1}^{N}\frac{p_{n}}{\alpha _{n}}
\end{equation*}を定める。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(レオンチェフ型効用関数のもとでの支出関数)
2財モデルにおけるレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x_{1},x_{2}\right)\in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}u\left( x_{1},x_{2}\right) =\min \left\{ \alpha _{1}x_{1},\alpha
_{2}x_{2}\right\}
\end{equation*}を定めます。ただし、\(\alpha _{1},\alpha _{2}>0\)です。上の命題より、支出関数\(e:\mathbb{R} _{++}^{2}\times \mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が存在して、これはそれぞれの\(\left( p_{1},p_{2},v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{2}\times \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}e\left( p_{1},p_{2},v\right) =v\left( \frac{p_{1}}{\alpha _{1}}+\frac{p_{2}}{\alpha _{2}}\right)
\end{equation*}を定めます。

例(レオンチェフ型効用関数のもとでの支出関数)
3財モデルにおけるレオンチェフ型効用関数\(u:\mathbb{R} _{+}^{3}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left(x_{1},x_{2},x_{3}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}u\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\min \left\{ \alpha _{1}x_{1},,\alpha
_{2}x_{2},\alpha _{3}x_{3}\right\}
\end{equation*}を定めます。ただし、\(\alpha _{1},\alpha _{2},\alpha _{3}>0\)です。上の命題より、支出関数\(e:\mathbb{R} _{++}^{3}\times \mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)が存在して、これはそれぞれの\(\left( p_{1},p_{2},p_{3},v\right)\in \mathbb{R} _{++}^{3}\times \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}e\left( p_{1},p_{2},p_{3},v\right) =v\left( \frac{p_{1}}{\alpha _{1}}+\frac{p_{2}}{\alpha _{2}}+\frac{p_{3}}{\alpha _{3}}\right)
\end{equation*}を定めます。

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

1次同次な効用関数

選好の相似拡大性(ホモセティックな選好)

無差別な消費ベクトル x,y を任意に選んだとき、すべての商品の消費量を同じ割合 α で増やして得られる消費ベクトル αx,αy どうしもまた無差別であるならば、選好は相似拡大性を満たすとか、ホモセティックであるなどと言います。1次同次関数であるような効用関数によって表現される選好は相似拡大性を満たします。

コブ・ダグラス型効用関数のもとでの支出最小化

支出最小化問題

価格ベクトルと目標となる効用水準が与えられたとき、目標水準以上の効用をもたらす消費ベクトルの中から支出を最小化するようなものを特定することを支出最小化問題と呼びます。

コブ・ダグラス型効用関数のもとでの支出最小化

ヒックスの補償需要関数

消費者が直面する支出最小化問題は価格ベクトルと目標となる効用水準に応じて変化します。そこで、価格ベクトルと目標効用水準のそれぞれの組に対して、そのときの支出最小化問題の解集合を定める対応をヒックスの補償需要対応(補償需要関数)と呼びます。

コブ・ダグラス型効用関数のもとでの支出最小化

支出関数

価格ベクトルと目標とする効用水準の組を入力とし、そこでの支出最小化問題の解における消費者の支出を出力する関数を支出関数と呼びます。

レオンチェフ型効用関数

レオンチェフ型効用関数

複数の商品が一定の割合で組み合わされて消費されることで意味を持つ場合、それらの商品を完全補完財と呼びます。完全補完財を消費する消費者の選好はレオンチェフ型効用関数によって表現されます。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

消費者理論