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消費者理論

選好関係の推移性

目次

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推移性を満たす選好関係

\(N\)種類の商品が存在する経済を想定した上で、消費者が直面する個々の選択肢を\(N\)次元ベクトル\begin{equation*}x=\left( x_{1},\cdots ,x_{N}\right) \in \mathbb{R} ^{N}
\end{equation*}として表現します。ただし、このベクトル\(x\)の第\(n\)成分\(x_{n}\)は商品\(n\)の消費量を表します。消費者が選択可能なすべてのベクトルからなる集合を消費集合\begin{equation*}X\subset \mathbb{R} ^{N}
\end{equation*}として表現します。消費集合\(X\)に直面した消費者は、\(X\)の要素である消費ベクトルどうしを比較しながら自身にとって最も望ましい消費ベクトルを選択します。そこで、消費者が持つ好みの体系を\(X\)上の二項関係\(\succsim \)として定式化し、これを選好関係と呼びます。具体的には、2つの消費ベクトル\(x,y\in X\)を任意に選んだときに、\begin{equation*}x\succsim y\Leftrightarrow \text{消費者は}x\text{を}y\text{以上に好む}
\end{equation*}を満たすものとして\(\succsim \)を定義します。

消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が、\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ (x\succsim y\wedge y\succsim z)\Rightarrow
x\succsim z\right] \end{equation*}を満たす場合には、つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者が\(x\)を\(y\)以上に好み\(y\)を\(z\)を以上に好む場合、\(x\)を\(z \)以上に好むことが保証されるのであれば、\(\succsim \)は推移性(transitivity)を満たすと言います。

例(選好関係の推移性)
1財モデルにおいて、消費集合\(\mathbb{R} _{+}\)上の選好関係\(\succsim \)が任意の\(x,y\in \mathbb{R} _{+}\)に対して、\begin{equation*}x\succsim y\Leftrightarrow x\geq y
\end{equation*}を満たすものとして定義されているものとします。ただし、右側の\(\geq \)は実数どうしを実数どうしを比較する通常の大小関係です。つまり、上の選好関係\(\succsim \)は「商品の消費量が多いほど望ましい」という評価体系を表現しています。大小関係\(\geq \)は推移性を満たすため、上のように定義される\(\succsim \)は明らかに推移性を満たします。
例(選好関係の推移性)
2財モデルにおいて、消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{2}\)上の選好関係\(\succsim \)が任意の\(\left( x_{1},x_{2}\right) ,\left(y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}\left( x_{1},x_{2}\right) \succsim \left( y_{1},y_{2}\right) \Leftrightarrow
\left( x_{1}\geq y_{1}\wedge x_{2}\geq y_{2}\right)
\end{equation*}を満たすものとして定義されているものとします。つまり、上の選好関係\(\succsim \)は「2つの商品の消費量がともに多いほど望ましい」という評価体系を表現しています。上のように定義された\(\succsim \)は推移性を満たします(演習問題)。

選好関係は推移性を満たすとは限りません。以下の例より明らかです。

例(推移性を満たさない選好関係)
消費者が2つの異なる指標を参考にしながら消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の消費ベクトルどうしを比較する状況を想定します。1つ目の指標を反映した選好関係を\(\succsim _{1}\)で表記し、2つ目の指標を反映した選好関係を\(\succsim_{2}\)で表記します。\(\succsim _{1}\)と\(\succsim _{2}\)はともに推移性を満たすものとします。その上で、この消費者の選好関係\(\succsim \)を、任意の\(x,y\in X\)に対して、\begin{equation*}x\succsim y\Leftrightarrow \left( x\succsim _{1}y\vee x\succsim _{2}y\right)
\end{equation*}を満たすものとして定義します。つまり、少なくとも一方の指標のもとで\(x\)が\(y\)以上に望ましい場合、そしてその場合にのみ、この人は\(x\)を\(y\)以上に望ましいものと判断するということです。上のように定義された\(\succsim \)は推移性を満たしません(演習問題)。

推移性の意味を深く理解するために、完備性を満たす一方で推移性を満たさない選好関係\(\succsim \)のもとでどのような問題が生じ得るかを考えます。ただし、選好関係\(\succsim \)が完備性を満たすこととは、\begin{equation*}\forall x,y\in X:(x\succsim y\vee y\succsim x)
\end{equation*}が成り立つことを意味します。完備性からは排除性\begin{equation*}
\forall x,y\in X:\left[ \lnot \left( x\succsim y\right) \Leftrightarrow
y\succ x\right] \end{equation*}が導かれることに注意してください。さて、\(\succsim \)が推移性を満たさない場合、推移性の定義の否定に相当する以下の命題\begin{equation*}\exists x,y,z\in X:\left[ x\succsim y\wedge y\succsim z\wedge \lnot \left(
x\succsim z\right) \right] \end{equation*}が成り立ちますが、排除性を踏まえると、これは以下の命題\begin{equation*}
\exists x,y,z\in X:\left( x\succsim y\wedge y\succsim z\wedge z\succ
x\right)
\end{equation*}と必要十分です。つまり、この消費者にとって\(z\)は\(x\)よりも望ましく(\(z\succ x\))、\(y\)は\(z\)以上に望ましい(\(y\succsim z\))という形で\(x\)を出発点にそれよりも厳密に望ましいか同等以上の消費ベクトルへ移行することで\(y\)へ至ったにも関わらず、この\(y\)は最初の\(x\)以上に望ましい(\(x\succsim y\))という奇妙な状況が発生しています。つまり、\begin{equation*}\cdots \succ x\succsim y\succsim z\succ x\succsim y\succsim z\succ x\succsim
y\succsim z\succ \cdots
\end{equation*}という形で消費者の選好が循環しているということです。選好関係に対して推移性の仮定を設けることにより、こうした状況が発生する可能性を排除できます。

人や状況によっては推移性が成り立たないこともあります。例えば、新車を購入する際にどのオプションを付けるか考えている場面での選択肢、すなわち消費ベクトルは「車両とオプションの組み合わせ」に対応します。ある人は「車両のみ」よりも「車両+自動ブレーキシステム」を望み、さらにそれよりも「車両+自動ブレーキシステム+純正カーナビ」を望んでいるものとします。同様に様々なオプションを追加していったときに、ふとした瞬間に「オプションをごちゃごちゃ付けるよりもシンプルな方がいい」と思い直すことがあります。このような場合、その人の選好は推移性を満たしていないことになります。他にも推移性が成立しないような状況が存在しますが、それについては場を改めて解説します。

 

推移性の含意

選好関係\(\succsim \)の推移性からは選好関係に関する様々な性質を導くことができます。選好関係\(\succsim \)の推移性からは、無差別関係\(\sim \)に関する推移性\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\sim y\wedge y\sim z\right) \Rightarrow
x\sim z\right] \end{equation*}を導くことができます。つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者にとって\(x\)と\(y\)が同じ程度望ましく、\(y\)が\(z\)と同じ程度望ましい場合には、\(x\)と\(z\)が同じ程度望ましいことが保証されるということです。

命題(無差別関係の推移性)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が推移性を満たす場合には、消費ベクトル\(x,y,z\in X\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\sim y\wedge y\sim z\right) \Rightarrow
x\sim z\right] \end{equation*}が成り立つ。

証明

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選好関係\(\succsim \)の推移性からは、狭義選好関係\(\succ \)に関する推移性\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succ y\wedge y\succ z\right) \Rightarrow
x\succ z\right] \end{equation*}を導くこともできます。つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者にとって\(x\)は\(y\)よりも望ましく、\(y\)が\(z\)よりも望ましい場合には、\(x\)は\(z\)よりも望ましいことが保証されるということです。

命題(狭義選好関係の推移性)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が推移性を満たす場合には、消費ベクトル\(x,y,z\in X\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succ y\wedge y\succ z\right) \Rightarrow
x\succ z\right] \end{equation*}が成り立つ。

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選好関係\(\succsim \)の推移性からは、選好関係\(\succsim \)と狭義選好関係\(\succ \)に関する推移性\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succsim y\wedge y\succ z\right)
\Rightarrow x\succ z\right] \end{equation*}を導くことができます。つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者にとって\(x\)は\(y\)以上に望ましく、\(y\)が\(z\)よりも望ましい場合には、\(x\)は\(z\)よりも望ましいことが保証されるということです。さらにここから、無差別関係\(\sim \)と狭義選好関係\(\succ \)に関する推移性\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\sim y\wedge y\succ z\right) \Rightarrow
x\succ z\right] \end{equation*}を導くことができます。つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者にとって\(x\)と\(y\)が同じ程度望ましく、\(y\)が\(z\)よりも望ましい場合には、\(x\)が\(z\)よりも望ましいことが保証されるということです。これをIP推移性(IP-transitivity)と呼びます。

同様に、選好関係\(\succsim \)の推移性からは、選好関係\(\succsim \)と狭義選好関係\(\succ \)に関する推移性\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succ y\wedge y\succsim z\right)
\Rightarrow x\succ z\right] \end{equation*}を導くことができます。つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者にとって\(x\)は\(y\)よりも望ましく、\(y\)が\(z\)以上に望ましい場合には、\(x\)は\(z\)よりも望ましいことが保証されるということです。さらにここから、無差別関係\(\sim \)と狭義選好関係\(\succ \)に関する推移性\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succ y\wedge y\sim z\right) \Rightarrow
x\succ z\right] \end{equation*}を導くことができます。つまり、3つの消費ベクトル\(x,y,z\)を任意に選んだとき、消費者にとって\(x\)と\(y\)よりも望ましく、\(y\)と\(z\)が同じ程度望ましい場合には、\(x\)が\(z\)よりも望ましいことが保証されるということです。これをPI推移性(PI-transitivity)と呼びます。

命題(IP推移性・PI推移性)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が推移性を満たす場合には、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succsim y\wedge
y\succ z\right) \Rightarrow x\succ z\right] \\
&&\left( b\right) \ \forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\sim y\wedge y\succ
z\right) \Rightarrow x\succ z\right] \\
&&\left( c\right) \ \forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succ y\wedge
y\succsim z\right) \Rightarrow x\succ z\right] \\
&&\left( d\right) \ \forall x,y,z\in X:\left[ \left( x\succ y\wedge y\sim
z\right) \Rightarrow x\succ z\right] \end{eqnarray*}がいずれも成り立つ。

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効用関数を用いた推移性の特徴づけ

繰り返しになりますが、消費集合\(X\)上の選好関係\(\succsim \)が推移性を満たすこととは、\begin{equation}\forall x,y,z\in X:\left[ (x\succsim y\wedge y\succsim z)\Rightarrow
x\succsim z\right] \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことを意味します。この選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合、効用関数の定義より、効用関数を用いて上の性質を言い換えると、\begin{equation}\forall x,y,z\in X:\left\{ \left[ u\left( x\right) \geq y\left( y\right)
\wedge u\left( y\right) \geq u\left( z\right) \right] \Rightarrow u\left(
x\right) \geq u\left( z\right) \right\} \quad \cdots (2)
\end{equation}となります。つまり、選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u\)が存在する場合、\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)は必要十分条件になります。

命題(効用関数を用いた推移性の特徴づけ)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)を表現する効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合、\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left\{ \left[ u\left( x\right) \geq y\left( y\right)
\wedge u\left( y\right) \geq u\left( z\right) \right] \Rightarrow u\left(
x\right) \geq u\left( z\right) \right\}
\end{equation*}が成り立つことは\(\succsim \)が推移性を満たすための必要十分条件である。

ただ、実数空間\(\mathbb{R} \)上の大小関係\(\leq \)は推移性\begin{equation*}\forall a,b,c\in \mathbb{R} :\left[ \left( a\geq b\wedge b\geq c\right) \Rightarrow a\geq c\right] \end{equation*}を満たすため、選好関係\(\succsim \)が推移性を満たすかどうかに関わらず、それを表現する任意の効用関数\(u\)は上の命題中の性質\begin{equation*}\forall x,y,z\in X:\left\{ \left[ u\left( x\right) \geq y\left( y\right)
\wedge u\left( y\right) \geq u\left( z\right) \right] \Rightarrow u\left(
x\right) \geq u\left( z\right) \right\}
\end{equation*}を満たします。したがって、仮に選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u \)が存在する場合、その\(u\)もまた上の性質を満たすため、先の命題より、\(\succsim \)は推移性を満たします。つまり、一般には選好関係\(\succsim \)を表現する効用関数\(u\)は存在するとは限りませんが、仮に\(\succsim \)を表現する効用関数が存在する場合には、その選好\(\succsim \)が推移性を満たすことが保証されるというわけです。

命題(効用関数によって表現される選好関係の推移性)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)を表現する効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合には、\(\succsim \)は推移性を満たす。

ちなみに、この命題の逆は成立するとは限りません。つまり、たとえ選好関係\(\succsim \)が推移性を満たす場合においても、その\(\succsim \)を表現する効用関数は存在するとは限りません。効用関数が存在するための条件については場を改めて詳しく解説します。

 

演習問題

問題(推移性を満たさない選好関係を表す効用関数)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上に定義された選好関係\(\succsim \)が推移性を満たさない場合には、\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在しないことを証明してください。
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問題(選好関係の推移性)
消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が、任意の\(x,y\in \mathbb{R} _{+}^{N}\)に対して、\begin{equation*}x\succsim y\Leftrightarrow x_{1}\geq y_{1}
\end{equation*}を満たすものとして定義されているものとします。この選好\(\succsim \)はどのような評価体系を表現しているか説明するとともに、\(\succsim \)は推移性を満たすか議論してください。
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問題(選好関係の推移性)
2財モデルにおいて、消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{2}\)上の選好関係\(\succsim \)が任意の\(\left( x_{1},x_{2}\right) ,\left(y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}\left( x_{1},x_{2}\right) \succsim \left( y_{1},y_{2}\right) \Leftrightarrow
\left( x_{1}\geq y_{1}\wedge x_{2}\geq y_{2}\right)
\end{equation*}を満たすものとして定義されているものとします。上のように定義された\(\succsim \)は推移性を満たすことを証明してください。
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問題(集団の選好の推移性)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上に定義された消費者\(1\)の選好関係\(\succsim _{1}\)と消費者\(2\)の選好関係\(\succsim_{2}\)はともに推移性を満たすものとします。このとき、この2人の集団にとっての選好\(\succsim \)を、任意の\(x,y\in X\)に対して、\begin{equation*}x\succsim y\Leftrightarrow \left( x\succsim _{1}y\vee x\succsim _{2}y\right)
\end{equation*}を満たすものとして定義します。つまり、2人のうちの少なくとも一方が\(x\)を\(y\)以上に好む場合、そしてその場合にのみ、集団として\(x\)を\(y\)以上に好むものと定めるということです。この選好\(\succsim \)は推移性を満たすでしょうか。推移性を満たす場合にはそのことを証明し、満たさない場合には反例を挙げてください。
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問題(集団の選好の推移性)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上に定義された消費者\(1\)の選好関係\(\succsim _{1}\)と消費者\(2\)の選好関係\(\succsim_{2}\)はともに推移性を満たすものとします。このとき、この2人の集団にとっての選好\(\succsim \)を、任意の\(x,y\in X\)に対して、\begin{equation*}x\succsim y\Leftrightarrow \left( x\succsim _{1}y\wedge x\succsim
_{2}y\right)
\end{equation*}を満たすものとして定義します。つまり、2人がともに\(x\)を\(y\)以上に好む場合、そしてその場合にのみ、集団として\(x\)を\(y\)以上に好むものと定めるということです。この選好\(\succsim \)は推移性を満たすでしょうか。推移性を満たす場合にはそのことを証明し、満たさない場合には反例を挙げてください。
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問題(辞書式選好の推移性)
2財モデルにおいて、消費集合\(\mathbb{R} _{+}^{2}\)上の選好関係\(\succsim \)が任意の\(\left( x_{1},x_{2}\right) ,\left(y_{1},y_{2}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{2}\)に対して、\begin{equation*}\left( x_{1},x_{2}\right) \succsim \left( y_{1},y_{2}\right) \Leftrightarrow
\left[ x_{1}>y_{1}\vee \left( x_{1}=y_{1}\wedge x_{2}\geq y_{2}\right) \right] \end{equation*}を満たすものとして定義されているものとします。つまり、消費者が2つの消費ベクトル\(\left( x_{1},x_{2}\right) \)と\(\left(y_{1},y_{2}\right) \)を比較する際には、商品1の消費量がより多いということ最も重要な選択基準であり、商品1の消費量が同じ場合には商品2の消費量がより多いことが選択基準になるということです。つまり、以上の選好\(\succsim \)は、商品1を商品2とは比較できないほど重視する消費者の嗜好を描写しています。このような選好を辞書式選好(lexicographic preference)と呼びます。辞書式選好は推移性を満たすでしょうか。推移性を満たす場合にはそのことを証明し、満たさない場合には反例を挙げてください。
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