教材一覧
CONSUMER THEORY

予算超平面(予算線)

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

予算超平面

復習になりますが、消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)、価格ベクトル\(p\in \mathbb{R} _{++}^{N}\)、そして所得\(w\in \mathbb{R} _{++}\)が与えられたとき、予算集合は、\begin{equation*}
B\left( p,w\right) =\{x\in X\ |\ p\cdot x\leq w\}
\end{equation*}と定義されます。これは、消費集合\(X\)に属する消費ベクトルの中でも、消費者による支出が所得を超えないものからなる集合です。特に、そのような消費ベクトルの中でも消費者による支出が所得と一致するようなものからなる集合を、\begin{equation*}
\overline{B}(p,w)=\{x\in X\ |\ p\cdot x=w\}
\end{equation*}と表記し、これを予算超平面(budget hyperplane)と呼びます。予算超平面が予算集合の部分集合であることは明らかです。予算超平面上の任意の点において、消費者は所得をすべて使い切ります。

例(予算線)
2財モデルにおいて消費集合が\(\mathbb{R} _{+}^{2}\)であるものとします。価格ベクトルを\(\left( p_{1},p_{2}\right) \in \mathbb{R} _{++}^{2}\)と所得\(w>0\)がそれぞれ与えられたとき、予算集合は、\begin{equation*}
B\left( p_{1},p_{2},w\right) =\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right) \in
\mathbb{R} _{+}^{2}\ |\ p_{1}x_{1}+p_{2}x_{2}\leq w\right\}
\end{equation*}となります。また、予算超平面は、\begin{equation*}
\overline{B}\left( p_{1},p_{2},w\right) =\left\{ \left( x_{1},x_{2}\right)
\in
\mathbb{R} _{+}^{2}\ |\ p_{1}x_{1}+p_{2}x_{2}=w\right\}
\end{equation*}となりますが、これは下図の線分として図示されることから予算線(budget line)と呼びます。これは、2つの切片\((0,\frac{w}{p_{2}}),(\frac{w}{p_{1}},0)\)を通り、傾きが\(-\frac{p_{1}}{p_{2}}\)の線分です。価格ベクトル\(\left( p_{1},p_{2}\right) \)と所得\(w\)が与えられれば2つの切片が定まるため、切片どうしを結ぶことにより予算線が得られます。
表:2財モデルにおける予算線
表:2財モデルにおける予算線

 

実質所得と名目所得

消費者の所得\(w\)と商品\(n\)の価格\(p_{n}\)の比\begin{equation*}
\frac{w}{p_{n}}
\end{equation*}を商品\(n\)で測った実質所得(real income)と呼びます。これは消費者が自身の所得\(w\)のすべてを商品\(n\)の購入に費やした場合に入手可能な商品\(n\)の数量を表しています。言い換えると、所得\(w\)の購買力を商品\(n\)の数量を基準に評価したものが商品\(n\)で測った実質所得です。

実質所得との対比で、所得\(w\)そのものを名目所得(nominal income)と呼びます。貨幣\(1\)単位の価格は\(1\)です。したがって、名目所得\(w\)は所得\(w\)のすべてを貨幣の購入に費やした場合に入手可能な貨幣の数量と解釈できます。言い換えると、所得\(w\)の購買力を貨幣の数量を基準に評価したものが名目所得です。

例(実質所得と名目所得)
2財モデルにおいて消費集合が\(\mathbb{R} _{+}^{2}\)である場合の予算線は下図の線分として表されます。これは、2つの切片\((0,\frac{w}{p_{2}}),(\frac{w}{p_{1}},0)\)を通り、傾きが\(-\frac{p_{1}}{p_{2}}\)の線分です。特に、\(x_{1}\)軸上の切片\(\frac{w}{p_{1}}\)は商品\(1\)で測った実質所得であり、\(x_{2}\)軸上の切片\(\frac{w}{p_{2}}\)は商品\(2\)で測った実質所得です。つまり、予算線の端点は実質所得に相当します。
表:2財モデルにおける予算線
表:2財モデルにおける予算線

 

相対価格と絶対価格

異なる2つの商品\(i,j\)を任意に選んだとき、それらの価格の比\begin{equation*}
\frac{p_{i}}{p_{j}}
\end{equation*}を商品\(i\)の商品\(j\)に対する相対価格(relative price)と呼びます。これは商品\(i\)の価格が商品\(j\)の価格の何倍であるかを表す指標です。消費者が商品\(i\)の消費量\(x_{i}\)を\(1\)単位だけ減少させると所得が\(p_{i}\)だけ浮きますが、浮いた所得を使うと商品\(j\)を\(\frac{p_{i}}{p_{j}}\)単位だけ購入できます。したがって、相対価格\(\frac{p_{i}}{p_{j}}\)は市場において\(1\)単位の商品\(i\)と交換可能な商品\(j\)の数量を表します。相対価格は2つの商品の交換比率(rate of exchange)を表す概念であるということです。相対価格\(\frac{p_{i}}{p_{j}}\)は同時に、市場において\(1\)単位の商品\(i\)を購入する場合に購入を諦める必要のある商品\(j\)の数量を表しています。言い換えると、\(1\)単位の商品\(i\)を購入することの機会費用(opportunity cost)は\(\frac{p_{i}}{p_{j}}\)単位の商品\(j\)に等しいということです。

相対価格との対比で、それぞれの商品\(n\)の価格\(p_{n}\)そのものを絶対価格(absolute price)と呼びます。消費者が商品\(n\)の消費量\(x_{n}\)を\(1\)単位だけ減少させると所得が\(p_{n}\)だけ浮きますが、貨幣\(1\)単位の価格は\(1\)であるため、浮いた所得を使うと貨幣を\(p_{n}\)単位だけ購入できます。したがって、絶対価格\(p_{n}\)は市場において\(1\)単位の商品\(n\)と交換可能な貨幣の数量を表します。

例(絶対価格と相対価格)
2財モデルにおいて消費集合が\(\mathbb{R} _{+}^{2}\)である場合の予算線は下図の線分として表されます。これは、2つの切片\((0,\frac{w}{p_{2}}),(\frac{w}{p_{1}},0)\)を通り、傾きが\(-\frac{p_{1}}{p_{2}}\)の線分です。つまり、予算線の傾きの絶対値\(\frac{p_{1}}{p_{2}}\)は商品\(1\)の商品\(2\)で測った相対価格です。つまり、予算線の傾きは2つの商品の相対価格に相当します。
表:2財モデルにおける予算線
表:2財モデルにおける予算線

 

演習問題

問題(予算集合の定式化)
ある人が\(2\)万円の予算のもとでシャツとパンツを購入しようとしている状況を想定してください。ただし、シャツの値段は\(1\)枚当たり\(1000\)円、パンツの値段は\(1\)枚当たり\(2000\)円であるものとします。シャツやパンツの購入量はそれぞれ非負の整数\(0,1,2,\cdots \)である必要があります。
  1. この人が直面する予算集合を定式化してください。
  2. シャツで測った実質所得、パンツで測った実質所得、シャツのパンツに対する相対価格をそれぞれ特定した上で、それらの値の意味を説明してください。
  3. パンツを\(3\)枚以上購入した場合、\(4\)枚目以降は半額になるキャンペーンが開催されている場合、この人が直面する予算集合を定式化してください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(予算集合の定式化)
あなたは1週間の海外旅行に出て、現在、目的地の空港に到着しました。旅行中の移動手段としてレンタカーとタクシーのどちら一方を選ぼうと考えています。レンタカーを借りる場合、初期費用が\(3\)万円であり、それ以外にも移動距離\(1\)キロメートルあたり\(20\)円のガソリン代が必要です。一方、タクシーに乗った場合、移動距離\(1\)キロメートルあたり\(100\)円の料金がかかります。旅行中に使える予算は\(20\)万円です。支出対象としては、交通費とそれ以外の項目への支出(合成財)の2種類を考えます。具体的には、移動距離を\(x_{1}\)(単位はキロメートル)で表記し、交通費以外への支出を\(x_{2}\)で表記します。
  1. 移動手段としてレンタカーを選択した場合の予算集合を定式化してください。
  2. 移動手段としてタクシーを選択した場合の予算集合を定式化してください。
  3. 移動手段としてレンタカーを利用する場合とタクシーを利用する場合のそれぞれについて、移動距離の合成財に対する相対価格を求めた上で、その値の意味を解釈してください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

次回は予算集合の変化について解説します。

< 前のページ
次のページ >
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

プライステイカー

予算集合

市場経済において消費者が商品を手に入れるためには、商品と引き換えに、商品の価格に相当する対価を支払わなければなりません。消費者の支出額は所得の範囲内に収まっていなければならないという経済的制約を明示的に考慮して得られる消費集合を予算集合と呼びます。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

消費者理論