優位集合・劣位集合・無差別集合

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優位集合と劣位集合

消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が与えられたとき、消費ベクトル\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
U\left( x\right) =\{y\in X\ |\ y\succsim x\}
\end{equation*}と定義される\(X\)の部分集合を\(x\)の優位集合(superlevel set)や上方位集合(upper contour set)などと呼びます。選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合には、上の定義を、\begin{equation*}
U\left( x\right) =\{y\in X\ |\ u\left( y\right) \geq u\left( x\right) \}
\end{equation*}と表現することもできます。つまり、\(u\left( x\right) \)以上の効用を与える消費ベクトルからなる集合が\(U\left( x\right) \)です。また、それぞれの消費ベクトル\(x\in X\)に対して、その優位集合\(U\left( x\right) \subset X\)を像として定める対応\(U:X\twoheadrightarrow X\)を優位対応(superlevel correspondence)や上方位対応(upper contour correspondence)などと呼びます。

消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が与えられたとき、消費ベクトル\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
L\left( x\right) =\{y\in X\ |\ x\succsim y\}
\end{equation*}と定義される\(X\)の部分集合を\(x\)の劣位集合(sublevel set)や下方位集合(lower contour set)などと呼びます。選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合には、上の定義を、\begin{equation*}
L\left( x\right) =\{y\in X\ |\ u\left( x\right) \geq u\left( y\right) \}
\end{equation*}と表現することもできます。つまり、\(u\left( x\right) \)以下の効用を与える消費ベクトルからなる集合が\(L\left( x\right) \)です。また、それぞれの消費ベクトル\(x\in X\)に対して、その劣位集合\(L\left( x\right) \subset X\)を像として定める対応\(L:X\twoheadrightarrow X\)を劣位対応(sublevel correspondence)や下方位対応(lower contour correspondence)などと呼びます。

例(優位集合と劣位集合)
消費集合が\(X=\mathbb{R} _{+}\)であるものとします。つまり、問題としているのは1種類の商品であり、それぞれの消費ベクトルは\(x\in X\)は非負の実数です。\(X\)上に定義された消費者の選好関係\(\succsim \)を、\begin{equation*}
x\succsim y\ \Leftrightarrow \ x\geq y
\end{equation*}を満たすものとして定義します。ただし、\(\geq \)は実数どうしを比較する通常の大小関係です。つまり、上の選好関係\(\succsim \)は「商品の消費量は多ければ多いほど良い」という評価体系を反映しています。消費ベクトル\(x\in X\)を任意に選んだとき、その優位集合と劣位集合はそれぞれ、\begin{eqnarray*}
U\left( x\right) &=&[x,+\infty )\subset \mathbb{R} _{+} \\
L\left( x\right) &=&(-\infty ,x]\subset \mathbb{R} _{+}
\end{eqnarray*}となります。
例(優位集合と劣位集合)
消費集合が\(X=\mathbb{R} _{+}^{2}\)であるものとします。つまり、問題としているのは2種類の商品であり、それぞれの消費ベクトル\(x=\left( x_{1},x_{2}\right) \in X\)について、その成分\(x_{i}\ \left( i=1,2\right) \)は非負の実数です。\(X\)上の選好関係\(\succsim \)を、\begin{equation*}
\left( x_{1},x_{2}\right) \succsim \left( y_{1},y_{2}\right) \
\Leftrightarrow \ x_{1}>y_{1}\ \veebar \ \left( x_{1}=y_{1}\ \wedge \
x_{2}\geq y_{2}\right)
\end{equation*}を満たすものとして定義します。ただし、\(\veebar \)は排他的論理和を表す記号です。つまり、上の選好関係\(\succsim \)は「商品\(1\)の消費量がより多い消費ベクトルは無条件でより望ましく、商品\(1\)の消費量が等しい消費ベクトルどうしについては、商品\(2\)の消費量が多い方がより望ましい」という評価体系を反映しています。消費ベクトル\(x\in X\)を任意に選んだとき、その優位集合\(U\left( x\right) \)と劣位集合\(L\left( x\right) \)はそれぞれ以下のように図示されます。
図:優位集合
図:優位集合
図:劣位集合
図:劣位集合

 

狭義の優位集合と劣位集合

消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)から狭義選好関係\(\succ \)を定義したとき、消費ベクトル\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
U_{s}\left( x\right) =\{y\in X\ |\ y\succ x\}
\end{equation*}と定義される\(X\)の部分集合を\(x\)の狭義優位集合(strict superlevel set)や狭義上方位集合(strict upper contour set)などと呼びます。選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合には、上の定義を、\begin{equation*}
U_{s}\left( x\right) =\{y\in X\ |\ u\left( y\right) >u\left( x\right) \}
\end{equation*}と表現することもできます。つまり、\(u\left( x\right) \)よりも大きい効用を与える消費ベクトルからなる集合が\(U_{s}\left( x\right) \)です。また、それぞれの消費ベクトル\(x\in X\)に対して、その狭義優位集合\(U_{s}\left( x\right) \subset X\)を像として定める対応\(U_{s}:X\twoheadrightarrow X\)を狭義優位対応(strict superlevel correspondence)や狭義上方位対応(strict upper contour correspondence)などと呼びます。

消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)から狭義選好関係\(\succ \)を定義したとき、消費ベクトル\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
L_{s}\left( x\right) =\{y\in X\ |\ x\succ y\}
\end{equation*}と定義される\(X\)の部分集合を\(x\)の狭義劣位集合(strict sublevel set)や狭義下方位集合(strict lower contour set)などと呼びます。選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合には、上の定義を、\begin{equation*}
L_{s}\left( x\right) =\{y\in X\ |\ u\left( x\right) >u\left( y\right) \}
\end{equation*}と表現することもできます。つまり、\(u\left( x\right) \)よりも小さい効用を与える消費ベクトルからなる集合が\(L_{s}\left( x\right) \)です。また、それぞれの消費ベクトル\(x\in X\)に対して、その狭義劣位集合\(L_{s}\left( x\right) \subset X\)を像として定める対応\(U_{s}:X\twoheadrightarrow X\)を狭義優位対応(strict superlevel correspondence)や狭義上方位対応(strict upper contour correspondence)などと呼びます。

例(狭義の優位集合と劣位集合)
先ほどと同様に、消費集合\(X=\mathbb{R} _{+}\)上に定義された消費者の選好関係\(\succsim \)を、\begin{equation*}
x\succsim y\ \Leftrightarrow \ x\geq y
\end{equation*}と定義します。消費ベクトル\(x\in X\)を任意に選んだとき、その狭義の優位集合と劣位集合はそれぞれ、\begin{eqnarray*}
U_{s}\left( x\right) &=&\left( x,+\infty \right) \subset \mathbb{R} _{+} \\
L_{s}\left( x\right) &=&\left( -\infty ,x\right) \subset \mathbb{R} _{+}
\end{eqnarray*}となります。
例(狭義の優位集合と劣位集合)
先ほどと同様に、消費集合\(X=\mathbb{R} _{+}^{2}\)上の選好関係\(\succsim \)を、\begin{equation*}
\left( x_{1},x_{2}\right) \succsim \left( y_{1},y_{2}\right) \
\Leftrightarrow \ x_{1}>y_{1}\ \veebar \ \left( x_{1}=y_{1}\ \wedge \
x_{2}\geq y_{2}\right)
\end{equation*}と定義します。消費ベクトル\(x\in X\)を任意に選んだとき、その狭義の優位集合\(U_{s}\left( x\right) \)と劣位集合\(L_{s}\left( x\right) \)はそれぞれ以下のように図示されます。
図:狭義優位集合
図:狭義優位集合
図:狭義劣位集合
図:狭義劣位集合

 

無差別集合

消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)から無差別関係\(\sim \)を定義したとき、消費ベクトル\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
I\left( x\right) =\{y\in X\ |\ y\sim x\}
\end{equation*}と定義される\(X\)の部分集合を\(x\)の無差別集合(indifference set)や等位集合(level set)などと呼びます。選好関係\(\succsim \)を表す効用関数\(u:X\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する場合には、上の定義を、\begin{equation*}
I\left( x\right) =\{y\in X\ |\ u\left( y\right) =u\left( x\right) \}
\end{equation*}と表現することもできます。つまり、\(u\left( x\right) \)と等しい効用を与える消費ベクトルからなる集合が\(I\left( x\right) \)です。また、それぞれの消費ベクトル\(x\in X\)に対して、その無差別集合\(I\left( x\right) \subset X\)を像として定める対応\(I:X\twoheadrightarrow X\)を無差別対応(indifference correspondence)や等位対応(level correspondence)などと呼びます。

例(無差別集合)
先ほどと同様に、消費集合\(X=\mathbb{R} _{+}\)上に定義された消費者の選好関係\(\succsim \)を、\begin{equation*}
x\succsim y\ \Leftrightarrow \ x\geq y
\end{equation*}と定義します。消費ベクトル\(x\in X\)を任意に選んだとき、無差別集合は、\begin{equation*}
I\left( x\right) =\{x\}\subset \mathbb{R} _{+}
\end{equation*}となります。
例(無差別集合)
先ほどと同様に、消費集合\(X=\mathbb{R} _{+}^{2}\)上の選好関係\(\succsim \)を、\begin{equation*}
\left( x_{1},x_{2}\right) \succsim \left( y_{1},y_{2}\right) \
\Leftrightarrow \ x_{1}>y_{1}\ \veebar \ \left( x_{1}=y_{1}\ \wedge \
x_{2}\geq y_{2}\right)
\end{equation*}と定義します。消費ベクトル\(x\in X\)を任意に選んだとき、その無差別集合\(I\left( x\right) \)は以下のように図示されます。
図:無差別集合
図:無差別集合

 

優位集合・劣位集合・無差別集合の関係

上で定義したそれぞれの集合の間には関係が成り立ちます。

命題(優位集合・劣位集合・無差別関係の関係)
消費集合\(X\subset \mathbb{R} ^{N}\)上の選好関係\(\succsim \)が与えられたとき、任意の消費ベクトル\(x\in X\)について、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ I\left( x\right) =U\left( x\right) \cap L\left( x\right)
\\
&&\left( b\right) \ U_{s}\left( x\right) =U\left( x\right) \backslash
I\left( x\right) \\
&&\left( c\right) \ L_{s}\left( x\right) =L\left( x\right) \backslash
I\left( x\right)
\end{eqnarray*}などが成り立つ。
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次回は選好関係に関する完備性という仮定について解説します。

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